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転機は21歳の頃。ケガで一変した僕のサッカー人生

元アスリートの意識改革

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転機は21歳の頃。ケガで一変した僕のサッカー人生

SPORTSカテゴリーでは、「元アスリートの意識改革」をお届けします。結果を出してきたアスリートが、現役時代を振り返り意識が変わったターニングポイントは何だったのか? 引退したいま、その意識はどう変化したのか。vol.1では、元サッカー日本代表として、2度のW杯に出場し活躍した福西崇史さんに、意識改革した瞬間についてお伺いしました。

* * *

福西崇史の言葉

「逆境はある意味でチャンス。向き合うことで選手としても人間としても成長できた」

プロ入りしてから転機の連続

意識がガラリと変わったターニングポイント......。そうですね......。いろいろあるけど、僕の場合、やっぱりケガなのかな

fukunishi_01.jpg

プロの世界では、14年間プレーさせてもらいました。地元・愛媛の高校からジュビロ磐田に入ったのが1995年。同学年にはヒデ(中田英寿)やツネ(宮本恒靖)などすごい選手がいたので、彼らと比べれば、僕なんて本当に無名の選手だったんです。

そういう意味でも、いわゆる"転機"は多いほうだったと思いますよ。当時のジュビロ磐田にはゴンさん(中山雅史)や名波(浩)さんなど日本代表に名を連ねる選手がたくさんいて、1年目のキャンプから「オレ、やっていけるの!?」と本気で思いましたから。つまり、初めて練習に参加した時から転機の連続だったんです。

運が良かったんだと思います。FWからMFにポジションを変えてもらったり、当時の現役ブラジル代表のキャプテン(ドゥンガ)がチームメイトになったり、チームがどんどん強くなって日本代表に呼んでもらったり。

ワールドカップには2度も出場させてもらいましたし、世界的な名選手と対戦することもできました。プロとしての14年間で、本当にすごい経験をさせてもらったと思います。

大きな転機は自分の行く末が真っ暗になった、あの時のケガ

fukunishi_02.jpgそれだけ多くのトピックがある中であえてケガを選んだのは、それが僕にとって初めて、"サッカーができない"という経験だったからです。

プロになって3年目、1997年のことでした。ボランチという新しいポジションに慣れて、ようやく試合に出られるようになって、プロの世界で「やっていけるかもしれない」と自信をつけ始めた時期でした。

最初のケガは足首。夏を迎える前に痛めて、復帰するまで3カ月くらいかかりました。ようやく復帰できたと思ったら今度は右膝の靭帯を痛めてしまって、シーズン後半のほとんどを棒に振りました。

実はこの年、ジュビロ磐田はJリーグで優勝しているんですよ。でも、僕の記憶にはケガのことしか残っていない。(当時のデータを見て)リーグ戦で21試合に出場しているなんて、今でも信じられません。それくらいショックが大きかったんだと思います。

fukunishi_03.jpg怖かったですね。プロになったばかりの頃は「うまくならなければ生き残れない」という意味で怖かった。だから必死になって練習しました。

でも、ケガをしてしまうと練習さえできない。「復帰できなかったらサッカー人生が終わる」という怖さは、まだ21歳だった自分が簡単に消化できるものではありませんでした。

ある時期を境に変わったサッカー選手としての考え方

fukunishi_04.jpg仕事に対する考え方やプロであることの意味については、初めて深く考えました。それによって、身体の作り方が変わりました。

ケガをしないためには、身体のどこをどのように強化すればいいのか。自分のウィークポイントを補うためにはどんなトレーニングが必要で、逆に、ストロングポイントを伸ばすためにはどこを鍛えればいいのか。そういうアプローチができるようになったことは、自分のプレースタイルを完成させる上でとても大きな変化でした。

フィジカルもメンタルも成長できた

fukunishi_05.jpg当時の僕はある意味イケイケで、周りのことが見えていませんでした。でも、ケガをしたことで、本当に多くの人に支えてもらっていることに気づくことができました

それから、自分よりはるかに大きなケガをして苦しんでいる人の姿を間近に見て、プロの世界の厳しさや選手としてあるべき姿を学ぶことができました。周りが見えるようになったことで、結果的には、自分のことを知ることができたんです。

若かったから、もちろんイライラもありました。当たり散らしたこともあったし、ちょっとしたことでカチンときてしまうこともありました。

ちなみに当時は結婚前だったんですが、妻には本当に迷惑をかけました。膝を痛めた時は手術をしたので、恥ずかしながら風呂で頭を洗ってもらったり、車を運転してもらったり。実は、この時期に支えてもらったことが結婚のきっかけなんですよ。きっと、ものすごくわがままだったんでしょうね。当時の経験から、彼女には「アンタみたいな人は絶対に介護したくない」と言われています(笑)。

結果論かもしれません。だけど、もしあのケガがなかったら、その後のキャリアは大きく変わっていたんじゃないかと思うんです。若い頃に"サッカーができない"という時期を経験したからこそ、自分のことを知り、武器となるプレースタイルを確立することができた

僕は本当に、運のいい選手だったと思います。当時はつらかったけど、あのケガがあったからこそ、その後の選手生活が14年間も続けられることができましたし、引退したいまも、サッカーに関わることができている。ネガティブに捉えられがちなケガですけど、僕にとってはひとつの幸運だったと思うんです。

福西崇史愛媛県出身。1995年~2006年ジュビロ磐田、2006年~2007年FC東京、2007年~2008年東京ヴェルディで活躍する。主な出場試合に2002年日韓・ワールドカップ、2004年AFCアジアカップ 中国大会、2006年ドイツ・ワールドカップなどがある。選手を引退した後はNHKなどで解説者としても活動を行う。公式Twitterはこちら

写真/佐坂和也 文/細江克弥

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