ご飯やパスタなど、糖質を含むものを控える糖質制限ダイエットに効果的であるとして話題になっています。私もそんな煽りを受けて、ユルい糖質オフ生活をはじめていましたが、最近になってこんどは「糖質は悪者じゃない」という意見をよく耳にするようになりました。

体に良いのか、悪いのか……両極端な意見が出てきたところで専門家の意見を聞いてみたいと思いました。

糖質の摂取量は減少、なのに糖尿病は増加のナゾ

下北沢病院糖尿病内科富田益臣先生によると、糖質は「自動車を走らせるためのガソリンのようなもの」なのだとか。脳や赤血球、筋肉、神経系のエネルギー源になる重要な栄養素だというなら、やはり糖質は良いもの?

問題なのは、摂取した糖質を使い切れていないことです。便利な社会になって運動量が激減していますから、エネルギーが使えず余ってしまっているのです。余った糖は、グリコーゲンとしてまず肝臓と筋肉に貯蔵されます。それでも余った糖は、体脂肪として蓄えられます。現代は食べるものが豊富にあり、飢餓状態になることはほぼありませんから、余った糖がどんどん体脂肪となって肥満になってしまうのです。

(「太陽笑顔fufufu」より引用)

糖質が余ると肥満になる。このことから、糖質制限がダイエットとして注目されたようです。

糖が余ると肥満になるだけでなく、糖尿病にもつながります。糖質の摂取は減少傾向にあるのに、糖尿病は年々増加。今や4人にひとりが糖尿病、もしくはその予備軍であるとされています。このことから考えて、ただ糖質を控えるだけでいいとは言えないのです。

(「太陽笑顔fufufu」より引用)

糖尿病は、糖がいつまでも血液中に余った状態のこと。どうやら糖質は、余らせると悪者に変身するようです。

糖は上げない、ためない、使う

糖が余る原因は第一に運動不足。それに加えて、インスリンというホルモンも関係しています。すい臓から分泌されるインスリンが少なくなったり、働きが悪くなると、正常に血糖を処理できなくなるのだとか。

もともとアジア人のインスリン分泌能力が低いため。血糖値が急激に上がるような食べ方をすると、インスリンの分泌が間に合わず血液中に糖があふれやすくなるのです。しかも、その食べ方を続けると、すい臓が疲弊して、ますます分泌能力を低下させてしまうことにもなります。

(「太陽笑顔fufufu」より引用)

避けるべきは血糖値の急上昇でした。

さらに、糖質には消化・吸収のいい砂糖などの単糖類と、血糖値の上昇がゆるやかな米やイモなどの多糖類があるとのこと。ユルい糖質オフと称して、スイーツを食べた日は白米を減らしたりしていましたが、カロリーと血糖値はあまり関係がないのだそうでガッカリ。そして、ちゃんと本質を調べず安易にブームに乗ったことを反省。

糖質との正しい付き合い方、7つのポイント

糖質は、人間になくてはならないものだとわかりました。同時に、ちょっとした注意が必要だということも。では、具体的にどう摂ればよいのかを管理栄養士石田千香子先生に教えていただきました。

1.「もう少し食べたい」その感覚を覚えておく糖をため込むことが肥満、糖尿病につながるので、食べ過ぎないということが大切。もう少し食べたいな、と思うくらいの適量を覚えておきましょう。

2.食べる順番を変える食事のとき、野菜から食べ始める”ベジタブル・ファースト”。野菜や海藻に含まれる食物繊維が、後から食べるご飯やパンなどの糖質の吸収を穏やかにしてくれます。

3.スムージーは、時間をかけて飲む果物には食物繊維が含まれていますが、粉砕されると糖の消化・吸収がよくなり、血糖値を急上昇させてしまいます。食事のスピードと同様、スムージーやジュースも、できるだけゆっくり飲むようにすると、血糖値の急上昇を防ぐことができます。

4.GI値の低い食品を選ぶ血糖値の上昇を穏やかにするためには、玄米ご飯や、表皮や胚芽、胚乳をすべて粉にした全粒粉で作ったパンやパスタを選ぶとよいでしょう。ただ、低GI食品であっても食べ過ぎは禁物!

5.ゆっくり食事を楽しむ血糖値は食事のスピードに合わせて上がりますから、よく噛んでゆっくり食べることが大事。食べ始めてから約20分で満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことにも役立ちます。

6.運動は、インスリンのためと考える糖をエネルギーとして利用するためのインスリンの分泌は運動によって促進されます。消費カロリーを計算するとやる気を失いがちな運動ですが、「インスリンのため」と考えると前向きに取り組めると思います。

7.糖を使うための材料を摂るビタミン・ミネラルは、糖質はもちろん、脂質、タンパク質を効率よく働かせるための重要な栄養素。五大栄養素の働きを考えて、バランスよく摂るようにしましょう。

結局のところ、糖質制限は良いのか悪いのか。その答えは現状、「良い面もあるが、心配な面もある」としか言えないようです。体質や生活環境は人それぞれ違うので、糖質制限がすべての人に合うとは言えないというのには納得。専門医の意見を聞きながら実践するとより良い効果が得られそう。

今回学んだ糖質の真実と、摂り方のポイントを押さえるだけでも、わからないままより美味しく安心して食事ができるようになったのは大収穫でした。

太陽笑顔fufufu

image via shutterstock

Ranking

RELATED ARTICLES