フランスは、食糧自給率100%を超えるヨーロッパ有数の農業大国。毎年2月下旬から3月初めにかけて行われる「パリ国際農業見本市(Salon international de l’agriculture à Paris)」が今年も開催されました。盛り上がったイベントの様子と品評会で金賞に輝いたグルメをレポートいたします。

食産業にかけるフランスの熱気を感じる見本市

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フランス各地の農産物が一堂に会し、試飲・試食も盛りだくさん、国をあげて取り組み1週間にわたり行われるイベントです。テレビでも大々的に報道され、現職の大統領や政治家も必ず足を運ぶのだそう。

170401_paris_1.jpg会場となるポルト・ド・ヴェルサイユ(Porte de Versailles)はパリ15区のはずれにあり、同名の地下鉄駅のすぐ目の前に、東京ドームの3倍という巨大な敷地が広がっています。

170401_paris_4.jpg農業だけでなく酪農、水産、林業など、食にまつわるあらゆることをテーマ別のパビリオンに展示。さまざまな品評会が催され、優秀な生産者が金賞をめざして競い合う場でもあります。

0331_paris_2.jpg「パリ国際農業見本市」がすごいのは、プロが求める最高の食材が集まるだけでなく、その価値や味わいを一般の人が堪能できるように工夫されているところ。農業・酪農体験ができる大がかりなイベントスペースもあり、食産業にかけるフランスの熱気をひしひしと感じます。

まるで農場。動物たちと触れ合う食育の場

0331_paris_3.jpg会場には子連れのファミリーがたくさん。子どもたちのお目当ては、畜産パビリオンの動物たち。牛、豚、羊、山羊、馬、ロバ、ウサギから、ペットの犬や猫にいたるまで、約3,200頭もの動物が集められたというのですから驚きです。

0331_paris_1.jpg「パリ国際農業見本市」は農業・酪農への理解を深めることも目的のひとつとあって、会場全体が農場のような雰囲気。おがくずが敷かれ、牛や豚がのんびりと歩き回っています。世話をするスタッフも、餌をやったり、通路にフンが放出されないようにバケツで受け止めたりと大忙し。

0331_paris_4.jpg子どもにおとなしい羊を触らせようとがんばっていたお父さんは「パリは都会で、身近に農業がありませんから。子どもたちに生きている動物と触れあってもらいたくて来ました」と話してくれました(羊はおさわり禁止だったのですが……)。生きている動物たちのすぐ横に、食肉加工についてのパネルや解体された肉の展示があるので複雑な気持ちになりますが、これも大事な食育の場。今年は283,000人もの子どもが入場したそうです。

品評会で金賞に輝いた注目グルメ3つ

注目の品評会で今回、金賞に輝いたグルメのなかで注目したいのはこの3つ。

アルデンヌ県のビール「Ardwen Blonde」

0331_beer_1.jpg0331_beer_2.jpgアルデンヌ県の醸造所のスタンドでは、品評会で金賞に輝いたビール「Ardwen Blonde」を販売。こちらの醸造所、日本にもサクランボのフレーバーを効かせた「Ardwen Cerise」を輸出しているそう。

オリヴィエール種のオリーブオイル

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0331_olive_3.jpgオリーブオイル部門で金賞を受賞したのは、200軒ほどのオリーブ農家が集まったClerment l’Hérault協同組合による、ピレネー=オリアンタル県産のオリヴィエール種のオリーブオイル。日本では、オリーヴ・リュックという会社がこちらのオリーブオイルを扱っています。ピショリーヌ種のオイルは銀賞を受賞しています。

ロワール地方のワイン「Malbec Elixir」

0331_wine_1.jpgワイン部門で金賞を受賞したのは、ロワール地方の「Plou et Fills(プルー・エ・フィス)」というワイナリーのワイン「Malbec Elixir(マルベック・エリキシール)」。まろやかでとろけるようなタンニンと、きれいな果実味が特徴のマルベック種のブドウを使った、樽香の効いたワインです。参考価格6.5ユーロ(輸出向け価格4.7ユーロ)と、良心的な価格もうれしいですね。

1964年からスタートし、2017年で54回目を迎えた「パリ国際農業見本市」。フランス人の「食」にかける情熱を、堪能できる場所なんてここをおいてはありません。

パリ国際農業見本市(Salon international de l’agriculture à Paris)

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