木が身近にある暮らしは、不思議と落ち着きます。無垢の木をあちこちに使った近所のカフェは、訪れるだけでほっとできるお気に入りの場所。サンドイッチを頼むと木のプレートでサーブしてくれて、その手触りにほっと心が和むのです。

この安心感、長居したくなる心地よさは"木のぬくもり"のおかげかも。そう気づいたことがきっかけで、木のある暮らしについて考えるようになりました。

木はどうしてリラックスできるの?

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"木のぬくもり"というとまず思い浮かぶのは、裸足で歩いたり、寝転んだりしたくなる木の床のやさしさです。林野庁によると、「木材は断熱性が高く、調湿作用があり、目に与える刺激が小さいなど、人に心地よい感覚を与える素材」とのこと。紫外線を吸収するので目に優しく、音を適度に吸収して、心地よく感じる範囲に調整する作用もあります。

さらに樹木からの揮発性物質「フィトンチッド」には、優れた健康増進効果が。「フィトンチッド」は、言ってみれば「森林の香り」。清々しく、自分まで浄化されるような気がするのは気のせいではなく、実際に殺菌力やリラックス効果があるのです。

林野庁の調査では、「木材を多く使用している施設では、インフルエンザにかかったり、転んで骨折をしたりする入居者が少ない」とのこと。フィジカルもメンタルも、良い影響を及ぼす木の力には驚かされます。

いつもそばにあった木のぬくもり

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星野工業(株) (栃木県鹿沼市)

そんな効果を知ってか知らずか、わたしたちの身の回りには木の力を持ったプロダクトがたくさん。

テーブルやイスは、リラックスしたい場所ほど木のものを選びたくなります。幼い子どもに初めて持たせるなら、軽くて口当たりのやさしい木のスプーンやお皿を――。

そういえばオフィスの床材も、昨年タイルカーペットから木の床に変わったのでした。いまも、ほのかに木のいい香りがして、オフィスに来るたびにうれしくなるし、来客からの評判も上々です。

人工的な素材に囲まれがちな現代社会では、身近な木のぬくもりが貴重に感じられます。人間も木も生き物だから、無機物にはないあたたかみを感じるのも当然のことなのかもしれません。

ぬくもりを感じる「木の家」を建てる

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建築主:高齋吉明(栃木県宇都宮市)、設計・施工者:(株)オーガニックスタジオ

木のぬくもりにもっと包まれたいと思うなら、マイホームで実現するのもひとつの手です。いま、日本では住宅の多くが海外から輸入された木材で建てられていますが、日本の林業を応援する意味でも、せっかくなら日本で生まれ育った木を使いたいもの。関東圏で暮らすわたしが、産地のひとつとして注目しているのが栃木県です。

あまり知られていませんが、栃木県はまさに「木の国」。県内で伐採される「とちぎ材」は、関東甲信越ではナンバー1、全国でも有数の生産量を誇ります。

そしてとちぎ材」は曲がり材がほとんどなく、芯の偏りや円の歪みが小さいのが特徴。これは、積雪などの影響を受けにくいことが理由だといいます。

欠点が少ないため、住宅のあらゆる部分に適用できる「とちぎ材」。豊かな自然が育てた、まっすぐで堅牢な木材は、そのままマイホームの快適さや耐久性につながります。

木の家が守ってくれるもの

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耐震性の面でも、木材は優秀。じつは、素材としては鉄やコンクリートよりも強いのです。同じ重さで比較すると、曲げ強度は鉄の約15倍、コンクリートの約400倍なのだとか。

また加熱実験でも、木材は鉄やアルミよりも強度低下が遅いという結果がでています。 木はある程度以上の厚みがあれば、いったん燃えると表面が焦げて炭化層を形成します。そのため内部まで火が進行せず、強度が低下しにくい性質とあいまって、火災が発生しても燃え進むには時間がかかるのです。

鉄は火災時レベルの熱(800℃以上)を受けると急激に強度が低下し、5分ほどでほとんど強度がなくなりますが、木材は15分経過しても60%の強度を保っているのだそう。万が一火災にあっても、構造体が残る可能性が高いというわけです。

鉄やコンクリートのような無機質な素材は、経年変化とともに強度が低下しますが、木は乾燥した状態を保てばとても長持ちします。(参考)その耐久性は、寛永13年(1636年)に建てられた栃木県の世界文化遺産、日光東照宮の社殿をみても明らかです。

いつもそばにいて、人をやさしくあたたかく包んでくれる。家族のしあわせを守ってくれる――それを肌で知っていたからこそ、日本人は「木の家」を愛し続けてきたのでしょう。「とちぎ材」で建てた家なら、そんな安らぎをいつも与えてくれるに違いありません。

栃木県木材需要拡大協議会,日光市,大田原市,矢板市,那須烏山市,塩谷町,那須町,那珂川町

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