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ふわふわっと空に浮かぶ雲。子どもの頃、どれだけあの雲を食べてみたいと夢見たことでしょう。綿菓子のように、ほんわり掴むことができるし、口に入れればほのかに甘くしゅわっと溶けてなくなると、疑わずにいました。

雲を掴むことはできない。本当のことを知ったおとなになってからも、ふうわり優しい弾力で、口の中でたちまち消えてなくなるものを、「雲を食むような」と例えることがよくあります。頭の中では分かっていても、雲を食べてみたいと思う空想は、いつまでもいつまでも、心の隅からなくなりません。

「御菓子丸」の儚く美しい和菓子

長い間の憧れが、叶う日がやってきました。「御菓子丸」という名義で、魔法のように儚く美しい和菓子を作る、杉山早陽子さんの「雲の味」と出会って。卵白や糸寒天を使った「ほうずい」という製法で作られた和菓子は、指で触れれば赤ちゃんの肌のようなふわっとした弾力。食べるとシャリシャリ音をたてながらじんわり形を無くしていきます。手のひらにのる雲ひとつ分味わう間、童心に返って、無邪気な喜びに浸りました。

京都を拠点に活動をおこなう杉山さんは、少し前まで「日菓」という和菓子創作ユニットのメンバーでした。日菓は、今年のはじめに惜しまれながら解散をしましたが、杉山さんは御菓子丸として、和菓子を作り続けています。日菓時代から、杉山さんのファンだった私。ふと見た光や、心の奥の記憶、ふとした思いを、甘いお菓子にしてしまう、不思議な女性。

雲の味はお腹の中へ消えてしまったけれど、御菓子丸のお菓子、もうひとつ我が家に。明日のおやつの時間が楽しみです。

[御菓子丸]

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