惑星の定義が見直されて、そのグループから冥王星がはずされてしまったのは2006年のこと。あれから、もう10年になるんですねぇ(しみじみ)。

同年、NASAは冥王星をはじめとする太陽系外縁天体の探査を目的とした無人探査機「ニューホライズンズ」を打ち上げました。それから時は流れて、2015年夏。ニューホライズンズがとらえた冥王星の姿に、科学者をはじめ多くの天文ファンが湧きました。

それでは、NASAのサイトに公開されている画像をご覧ください!

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Pluto: In Depth

じゃじゃーん!

天体の表面には、なんと「ハート」があったのです! まるで、ボール型のチョコレートに粉砂糖でハートのお化粧をしたみたい。とってもラブリーな外観に、思わず胸がキュンとしてしまいますね。ちなみに、この白いハート正体は、氷の大平原なのだそうです。

あのキャラクターの名前にも

冥王星は、アメリカの天文学者クライド・トンボーによって1930年に発見され、太陽系9番目の惑星として「プルート(Pluto)」と名づけられました。冥王星の発見は、当時のアメリカで大変話題になり、あるキャラクターにも影響を与えました。そう、ディズニーの「プルート」です。冥王星発見と同じ年にディズニーキャラクターとして誕生したミッキーの愛犬の名前は、冥王星のプルートからきていたのです。ディズニーも、なかなか粋なことをしますね。

「冥王星」という和名をつけたのは

ところで、プルートの和名を誰が提案したかご存知でしょうか。それは天文書を多数執筆して天文ファンの裾野を広げたことで知られる「野尻抱影(のじり・ほうえい)」です。私も大好きな作家で、とくに『星三百六十五夜』や『新星座巡礼』は、繰り返しめぐってくる季節の星座とともに、毎年読み返したくなる愛読書になっています。

プルートとは、ローマ神話に登場する冥界の支配者のこと。そこで抱影は、プルートを「冥王星」か「幽王星」と呼ぶことを提案しました。響きのいい「冥王星」が多くの人に受け入れられてそのまま定着しましたが、もしも「幽王星」が支持されていたら……2006年よりも前に学校教育を受けた人は、太陽系の惑星を「水金地火木土天海幽」と覚えることになっていたかもしれませんね。

ニューホライズンズが冥王星探査で大きな成果を上げた2015年は、冥王星の名づけ親である野尻抱影の生誕130年にあたり、横浜の大佛次郎記念館では抱影をテーマにした展示を、2016年3月13日まで開催中です。ちなみに抱影は、作家・大佛次郎の12歳年長の実兄で、展示では兄と弟の関係がわかる書簡なども見ることができます。

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