1. Home
  2. STYLE
  3. マティスの生まれたフランス北部小さな町の大きな夢

マティスの生まれたフランス北部小さな町の大きな夢

冠ゆき

マティスの生まれたフランス北部小さな町の大きな夢

その溢れるような色彩で知られる画家マティスは、緑に覆われた植物園のようなアトリエで創作にあたった自然愛好家でした。

出身は、フランス北部のLe Cateau-Cambrésis(ル・カトー・カンブレジ)という町

今では主要道路からも離れた静かな町ですが、今も残る、昔の僧院のビール醸造所やカンブレ大司教が住んだフェヌロン邸などの美しい建築物に、かつての繁栄をうかがうことができます。マティスはその晩年、「シーザーにシーザーのものを返すように」と言って、作品の多くをこの町に寄付し、それが今あるマティス美術館の元となりました。

菩提樹の花がつなげた人々

じつはこの町では、昨年夏から、数々の面白い試みが生まれています。きっかけになったのは上述マティス美術館が企画した『La vie eat faite de bells rencontres(人生は素敵な出会いでできている)』という大きなテーマ枠の展覧会。

この中で提案されたのが『Quand Fleurit le Tilleul(菩提樹の花咲くとき)』と題する環境サイクルをテーマにした作品群。マティス美術館のあるフェヌロン邸の庭園に植えられた48本の菩提樹(リンデン)を真ん中に置き、地元の職人たちとアーティストがコラボレートした作品を集めたのです。

20151111_matisse1.jpg

美術館の庭で集めた菩提樹の葉

20151111_matisse2.jpg

マティス美術館のバルコニーで蜂蜜を集める様子Le Cateau-Cambrésis, photo E Macarez

たとえば、地元の養蜂家の協力を得て、菩提樹の花から蜂蜜を作ったり、葉っぱをハーブティにしたり。また、町にあるBrasserie Historique de l'Abbaye du Cateau(ル・カトー僧院歴史ビール醸造所)は、菩提樹風味のビールまで作り出しました。

加えて、それらに合う陶器や、グラスなども複数のアーティストが作成しましたし、蜂蜜の滴るミツバチの巣箱を子どもたちが見学に来たりと、さながら町全体が青空教室のようなすてきな催しとなりました。

ミクロなきのことマクロなきのこ

このコラボレーションの波はここに留まらず、このときの経験にヒントを得て、ル・カトー僧院歴史ビール醸造所はその後も町の薬局と面白い試みを続けています。

20151111_matisse4.jpg

きのこを集めるコクラー氏

ル・カトーの薬剤師のコクラー氏は、菌学も修めており、平たく言えば、きのこの専門家。つまり、このコラボで作られているのは、ずばり「きのこのビール」なのです。「え?きのことビール?」とちょっと驚きましたが、コクラー氏にとっては、じつに自然な結びつきなんだとか

「ミクロなきのこ(ビールを作る出芽酵母)とマクロなきのこ(普通のきのこ)の共演ですからね」

なるほど。一言で納得しました。

20151111_matisse6.jpg

今年のBord'Aleビール製造の様子

2014年秋には、フランス語で「死のトランペット(Craterellus cornucopioides)」と恐ろしい名前で呼ばれる(けれども)美味なきのこ風味のMort'Aleビールを、そして今年秋には、グルメなきのこ代表セップ茸(boletus edulis)風味のBord'Aleビールを生み出しました。

20151111_matisse7.jpg

この秋作られたBord'Aleビール

どのくらいきのこを入れるのか聞いてみたところ、先月できたばかりのセップ茸ビールについて具体的に教えてくれました。

「30リットルの醸造桶で試作して、濃度など決めた後に、2,000リットルの醸造桶で作ったんだ。2,000リットル醸造桶に入れたのは、乾燥セップ茸10キログラム。フレッシュなものなら100キログラムに相当する量だね。それでできたビールが、ボトル1,500本と30リットル樽数個かな。」

繊細な味はシェフにも人気

気になるお味ですが、ル・カトー僧院歴史ビール醸造所のPessot(ペソ)氏によれば、試行錯誤の末にたどり着いたのは、きのこ風味を損なわない程度に木の香りの混ざった琥珀色のビール。じつに繊細な味だそうで、それを証拠に、ガストロノミー界からも注目されています。

同県にある星つきレストランシェフFlorent Ladeyn(フロラン・ラデン)をはじめ、フランス北部の複数のレストランシェフが、料理に合う飲み物として取り扱い始めています。ここにもまた新たな結びつきが生まれていくのが見え、ワクワクします。

美術館からアーティストと職人へ、そしてビール醸造所から薬局、果てはレストランへと、一見、別な世界に属するように見える人々がつながる様子を目にして、こういう流れが、ひいては町や地方の活性化を呼び起こすのだろうなと思いました

実際、ペソ氏は一連のコラボレーション体験について、次のように語っています。

「いちから作り上げていくどの過程もすべてエキサイティングな体験だったよ。(中略)(コラボレーションによる)出会いはひとつひとつ、どれもがかけがえのないものだった。成功は、じつはひたすら「人」にかかっているものなんだ。(異なる分野が専門である)お互いが、お互いの分野に興味を持つことが何より大切なんだと思う。(中略)まさしく最初のテーマ『人生は素敵な出会いでできている』を地でいってるよ」

地元に根を下ろし、地元の自然から離れず、環境を考えながらも新しい企てを打ち立てるル・カトー・カンブレジの人々の姿勢に、自然を愛してやまなかったマティスの精神が重なって見えるように思えるのは、私だけでしょうか。

Musée départemental Matisse,Pharmacie du Musée ,Brasserie Historique de l'Abbaye du Cateau

    specialbanner
    specialbanner

    Ranking

    1. アボカドをひと晩で完熟に! キッチンにあるもので簡単にできる裏技

    2. 硬い体がみるみるやわらかくなるポーズ。座ってできます!

    3. 血圧を下げる3か条。積極的に摂るべきフードは?

    4. 「ちょいチェンジ」がカギ。春トレンドのメイク&スキンケア術

    5. 便秘や肌荒れ、口臭など。効果で選ぶヨーグルトの見分け方

    6. 白髪の原因はやっぱりストレスだった! 科学者が解明

    7. 30日間、毎日ダークチョコを食べる研究でわかったこと

    8. 「反り腰」を改善する簡単ストレッチ。腰痛やO脚の原因にも!

    9. 花粉症研究の第一人者が伝授。花粉とかしこく付き合う「5つの秘策」

    10. 天然ミネラルと植物由来オイルでできたシアールージュの新色【プレゼント】

    1. アボカドをひと晩で完熟に! キッチンにあるもので簡単にできる裏技

    2. 30日間、毎日ダークチョコを食べる研究でわかったこと

    3. 普段よりうんちがくさくなる9つの理由を医師が説明

    4. 高カロリーなパン&カロリー控えめなパンはどれ?

    5. 硬い体がみるみるやわらかくなるポーズ。座ってできます!

    6. 洗練されたニュアンスカラー。ヨギー・サンクチュアリのレオパード柄レギンス【プレゼント】

    7. 若い人にも関係ある「高血圧・低血圧」。めまい、吐き気を感じたら...

    8. 腹筋とお尻ひきしめに効果的。立ってるだけのヨガポーズ

    9. 月1回しかやらないのに、3kg減も夢じゃないダイエットって?

    10. 血圧を下げる3か条。積極的に摂るべきフードは?

    1. 普段よりうんちがくさくなる9つの理由を医師が説明

    2. メンタルが強い人の6つの習慣。心の筋トレで強くなる!

    3. なぜ眉メイクは難しい? 失敗しないポイントは3つ

    4. アボカドをひと晩で完熟に! キッチンにあるもので簡単にできる裏技

    5. 躁とうつを繰り返す「双極性障害」はどんな病気? 有名人がつらさを告白

    6. ひどい肩こりを自分で治す。コアを使った深いストレッチ

    7. 30日間、毎日ダークチョコを食べる研究でわかったこと

    8. あなたの砂糖中毒度はどのくらい? 摂りすぎをチェックする8つの質問

    9. 「余計な習慣をやめるだけ」自律神経を整える基本のルール

    10. リバウンドなしで「週1kg体重を減らす」7つのステップ