今していることの結果がどうなるか。それは誰にも分かりません。神のみぞ知る、というところでしょうか。どうなるか分からないのに、私たちは結果を気にして、あれこれ悩んだり、気を揉んだり……。でも、私たちがどうにかできる部分は、結果ではなく、そこに行き着くまでのプロセスです。

料理をするときというのは、もちろん食べるために料理をするわけです。でも、料理の完成という結果だけを目的とするのではなく、その作る過程を味わうこと、楽しむこともおすすめしたいなと思います。

結果(できあがり)を急ぐと、いかに短時間でできるかが重要になります。結果だけを大切にすると、ひとつひとつの手間はめんどうなものになり、省くべきものになっていきます。でも、プロセスも楽しむぞ、とひとたび決めると、そのひとつひとつの手間は、大げさかもしれませんが、創造力を働かせ、自分を表現する場になっていきます。材料を選んだり、材料を切ったり下ごしらえしたり。その過程を大切に丁寧にする。それはつまり、今それをしている自分を大切に丁寧に扱うことでもあります。そうしてできあがった料理は、大切や丁寧の集積です。これが、心のこもった料理、ではないかなと思うのです。

学校ではテストの点数という結果を求められてきましたし、仕事でも売り上げなど結果を出すことが求められます。結果至上主義の世の中では、結果こそが大切なものとされます。でも、未来というのは、今この瞬間の集積とも言えます。だとしたら、まだ結果にいたっていない途中の一瞬一瞬、結果にいたっていない途中の自分は、ないがしろにされがちではあるものの、実はもっとも大切なのではないかと思うのです。

今日食べたもの:無花果の胡麻和え

軽く炒った白胡麻を、すり鉢ですって、ペースト状にします。テレビを見ながら、でもいいですが、せっかくですから胡麻すりに専念するのがおすすめです。ゆったりとした気持ちで、胡麻がだんだんと細かくなり、少しずつ油が出てきてしっとりしていく様子を眺めてみます。そうして、それを見つめている自分の心にどんなことが浮かんでいるかな、と心の様子も眺めてみます。胡麻をする時間が瞑想の時間になります

胡麻がペースト状になったら、お醤油砂糖を少しずつ加え、水で適当な柔らかさにします。食べやすい大きさに切った無花果を和えて、できあがりです。

市販の胡麻ペーストを使うこともありますが、ここぞという料理のときには、自分で胡麻ペーストをつくります。市販のものとは違う、特別なおいしさなのです。

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