1年でいちばんすがすがしい季節、5月。それなのに朝、気持ちよく起きられない、起きたときから疲れている、なんてことはありませんか? 実は、5月はストレス不眠に悩む人が増える季節。でも、それはどうして?......最近ちょっぴり不眠が気になる編集部・織田が「5月の不眠」についてしらべました。
気持ちよく眠るにはどうしたら?
マイロハスでもこれまでたびたび取り上げてきた快眠の方法ですが、総合すると「スムーズに深部体温を下げる」ことがカギと言えそう。人間のからだは、昼間に使った脳が疲れすぎないように、夜は深部体温を下げて脳を休ませようとするのだとか。だから一見リラックス効果がありそうだけど脳を興奮させてしまう「寝酒」は実はNGだそう。
ウトウトしたとき、脚や手など体の末端がじんわり温かくなっているのは、からだが上手に深部体温を逃している状態。逆に、いつまでも足の先が冷たいままだったり、体が疲れているのに目が冴えて眠れないのは、眠りにつくプロセスのどこかに問題がありそうです。
不眠のタイプは人それぞれ
漢方アドバイザーの信川敏子先生は「特に5月にみられる不眠は、4月からの新しい環境のなかで生じた緊張を上手に解けないことで起こりがち」といいます。また、不安やくよくよした気持ちをともなう神経症的な不眠も。さらに、これらの複合したケースや、また別の要因との複合という場合もあるのだそうで、不眠のタイプは一種類ではなく人それぞれなのだそう。漢方では、不眠の原因もさまざまであると捉え、それぞれに異なったアプローチをするそうです。
でも、症状の原因に直接働きかける西洋医学では、不眠に対しては、眠りを促す薬で寝つきをよくするというという対処が基本。
「西洋医学が有効な場合もあります。でも不眠は、漢方の得意分野。ただ薬を服用するだけではなく、食生活や生活のリズムなど生活全般を総合的に捉えて眠りのプロセスを整える、漢方的なアプローチをおすすめします」(同)。
「からだの自然治癒力を高めて不調を治すのが漢方のスタイル」と千代田漢方内科クリニックの信川敏子先生。
自分にあった漢方を探すには
漢方の診察では、まず手首の脈診や、舌の色や舌苔を見る舌診などを通して、症状の原因ともいえる「気」「血」「水」のバランスを見きわめ、治療方針を決めていきます。特に、不眠には「気」「血」が関係しているよう。
信川先生所属のクリニックでも良く処方されるという、不眠に関する代表的な漢方薬を挙げてもらいました。これをみるだけでも、不眠の原因と対処法は体質によってこんなに違うとわかって驚きました。「症状で見立てた漢方薬をまずは1~2週間服用してみましょう。見立てが合っていれば、1~2週間で効きめを実感することができるはず」(同)。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
・細かいことが気になる。・ちょっとしたことでイライラし、悩んでしまう。・大事なプレゼンの前日などに緊張して眠れない。
脳がなかなか緊張を解けないことでおこる不眠に。
脳が興奮をつづけて疲れた状態になっています。疲労やストレスを感じると気のめぐりは滞りがちに。すると眠るとき、スムーズに深部体温を下げることができず、脳はますます疲れてしまいます。柴胡加竜骨牡蛎湯は滞っていた気をめぐらせ、体にこもった熱を冷まし、ストレスを取り除きます。
加味帰脾湯(かみきひとう)
・疲れやすい。眠っても疲れが取れない。・よくうなされる。・物忘れがある。・食欲がない。貧血気味。
深く眠れずスッキリしないタイプの不眠に。全身の組織や器官に栄養を与える血が不足しても、深部体温の調節は上手くいきません。それにより、眠りが浅くなり、疲れが取れず、ますます血が不足することに。加味帰脾湯は消化器のはたらきを助け、足りない血を増やし、気持ちを落ち着けます。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
・些細なことが気になって集中できない。・パニックになりやすい。・ストレスを感じやすい。・冷え症。
神経症的な不眠に。
神経質になるのは気と血のバランスの悪さから。神経質になり脳が慢性的に興奮状態となることで、めぐりのバランスはさらに崩れてしまいます。桂枝加竜骨牡蛎湯は気と血を整えてこころを落ち着かせる効果があります。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
・のどに何かつっかえている感じがする。・体を動かす機会が少ない
のどがつかえるような神経症状があるなら、他の薬と併用を。
のどの部分で「気」のめぐりが滞ると、のどに何かつまったような違和感を感じるようになるのだそう。体を動かす機会が少ないと、この症状はますます悪化してしまいます。半夏厚朴湯は「気」のめぐりを良くして、のどのつかえ感や違和感を改善します。
あなたはどのタイプ?
症状をチェックしてみると、足が冷たくて眠れなかったり、失敗をひきずりくよくよしがちな私はどうやら神経症的な不眠のよう。
「ベッドに入っても足がいつまでも冷たくて眠れないなら、桂枝加竜骨牡蛎湯を寝る30分前に飲むことを始めてみましょう。日中緊張しがちなら加味逍遙散(かみしょうようさん)も併用して気持ちを緩めてあげるのも良いと思います」(同)。
体質を変えるにはどうしたら?
信川先生は、体質改善には「漢方発想に基づいた生活習慣の見直しがカギ」といいます。
「たとえば、寝る前には足をあたためたり、軽くストレッチをしたり、スマートフォンの明るい画面を見ないようにしたり、頭のスイッチを切る工夫を。また寝る前だけでなく、1日の生活を見直し、できることから改めていきましょう。漢方薬の服用をつづけながら、生活習慣を改めていくことで、薬の効き目も倍増。あわせて、自然治癒力の高い、快適なからだへと体質を変えていくことができます」(同)。
「漢方を選ぶ過程を通じて、自分のからだに耳をすませてみましょう」と話す信川先生。生まれつきだから仕方ない、と諦めないで、漢方の知恵を試してみたくなります。
漢方生活の「はじめの一歩」にクラシエの漢方セラピー

クラシエの「漢方セラピー」は、ドラッグストアでも購入できる漢方薬。パッケージに症状と処方名が一目でわかるように記載されているから、自分に合った漢方薬を探すのもカンタン。サイトではぴったりの漢方薬が見つけられる「漢方薬はじめてブック」がダウンロードできたり、漢方生活に役立つ情報も。
[漢方セラピー]
信川敏子先生
上海市生まれ。上海中医薬大学医学部卒業。千代田漢方内科クリニック副院長・漢方アドバイザー。首都医校客員教授。長年、中国医学の教育および漢方臨床を中心に仕事をしながら多方面で活躍中。著書に『「効く食材」で涼しくなる 暑さを乗りきる110レシピ』 (別冊家庭画報)、『がんにまけない養生レシピ』(世界文化社)がある。
撮影/野澤朋代 文/マイロハス編集部・織田
woman image, chinese herbal medicine imagevia Shutterstock
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