1999年に"こころの風邪"というキャッチコピーが広まり、急速に身近になった病気、"うつ"。日本国内でうつ病として病院にかかった患者数は、1996年の時点で43万人だったのが、2011年には95万8千人まで増加したそうです。
どうして、こんなにも急にうつが日本に広まったのか? なぜ、みんなハッピーに生きるため、薬を飲んでいるの? ハッピーでなければならないということ自体、アメリカ的価値観が生み出した病気なのではないか。
そう考えた映画監督のマイク・ミルズは、オーディションで選ばれた5人のうつ病を患う日本人に密着取材し、自身初となる長編ドキュメンタリー映画『マイク・ミルズのうつの話』として発表しました。
この映画でインタビューされているのは、それぞれに個性的ではあるけれど、みな普通の人びと。自分の苦しみを抱え、アメリカの製薬会社の薬を飲み、それぞれ懸命に病気と共存しようとしています。
この映画を観ていると、彼らが決して"特別な人間"というわけではなく、私たちの隣人であり、もしかしたら未来の自分の姿かもしれないということがわかります。"こころの風邪"という言葉だけがメジャーになっていたけれど、うつ病患者の言葉をきちんと捉えた映画は、これまでなかったのではないでしょうか。
取材を受けた登場人物たちは......
ミカ(20代・実家暮らし)「毎日嫌いな酢を飲んで精神を鍛えている」
タケトシ(うつ歴15年) 絵の創作活動に力を入れ、細かく日記をつけている
ケン(プログラマー)緊縛されることに癒しを感じ、ハイヒールとホットパンツがユニフォーム
カヨコ(Tシャツ工場勤務)自殺願望があり、ほとんど泣いて過ごしている
ダイスケ(エンジニア)サボテンの飼育や写真撮影を趣味に持つSE
うつ病をかかえる彼らが、どんなことを考えて日々の生活を送っているのかを垣間見ることができる貴重な本作。
グラフィック・アーティストやミュージック・ビデオの監督としても知られるマイク・ミルズが映し出したポップな日本の風景とともに、"うつ"を身近に感じられる一作です。
『マイク・ミルズのうつの話』(84分/アメリカ/2007年)
原題:Does Your Soul Have A Cold?
公開:2013年10月19日
配給:アップリンク
劇場:アップリンク X
監督:マイク・ミルズ
出演:タケトシ/ミカ/ケン/カヨコ/ダイスケ
(松村知恵美)
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