コンシェルジュの人情にほろり。大展望台浴場でゆったりとくつろぐ
八丈島行きの飛行機に雄治は間に合わなくて、美穂は一人で八丈ビューホテルへ到着した。
「連れが遅れるんですよ」と少し沈んだ気持ちで言うと、
「ではお食事も少し遅れ目にしましょうかね。お客様は先にお風呂でもいかがですか?」
と明るくはきはきしたコンシェルジュの対応に、美穂の心がほぐれた。
部屋は純和風の新館「常春」で、オーシャンビューで太平洋を一望できる。
夕食のメニューはあしたば料理と海の幸だという。
あしたばは、八丈島に原生しているセリ科の多年草で、「今日摘んでも明日芽を出す」といわれる生命力の強さから『アシタバ』と呼ばれているそうだ。
「ビタミン・ミネラルがバランスよく含まれていますからね。独特の苦味も健康にいいみたいですよ」とコンシェルジュ。
健康食品と聞くと、美穂は雄治にぜひ食べてもらいたいと思う。
でも彼は夕食に間に合うのだろうか?
「連れの人が遅れるようなら温めますから」とコンシェルジュの心遣いにほっとする美穂。
くよくよ悩むのをやめて、展望大浴場で雄治よりも先にくつろぐことにした。
雄治と知り合ったのは5年前。
妹夫婦に紹介されて付き合いだした二人で、最初から何となく結婚を意識していたが、3年前に雄治は突然会社を退社して、ベンチャーを起こし、仕事に打ち込んだ。
そのためこの2ヶ月近く会っていなかった。
そんなときに、取引先の2歳上の男性からデートに誘われた。
応じるかどうか迷って、つい妹に「雄治とこれからどうなるかわからない」と悩みを打ち明けてしまった。
心配した妹夫婦が、美穂と雄治のために八丈ビューホテルを予約して、二人きりのホリデイをセッティングしてくれたのだ。
東京から飛行機で45分の八丈島――
ここなら仕事で忙しい雄治でも、きっと来てくれるはず。
美穂は雄治の到着を心待ちにした。
>>次へ
ホテル自慢のあしたば料理と本格焼酎バーで、プロポーズ


