暑い日が続いて食欲が出ない、なんだか体が重い…これって夏バテ?夏場は空調による冷えや乾燥、紫外線によるダメージなどで、体や肌に疲れが出やすい時期。そんなときは、厳しい暑さをのりきる知恵がつまったスパイスを使って、ピリリとパワーチャージしてみませんか?
食事のおいしさを増し、さらに料理の幅もぐんと広げてくれる魅力的なスパイス。でも、初心者にとって種類豊富なスパイスを使いこなすのは難しいもの。そこで、今回はインド・スパイス研究家の香取薫さんに、その魅力や基礎知識、数種のスパイスでできるお手軽レシピを教えていただきました。
「スパイスという名前の語源はラテン語の『species=特別の種類、薬品』から。インドには古代から伝承医学のアーユルヴェーダが根づいていて、スパイスは薬としての役割をしてきたんです。防腐や消臭効果からも重宝され、それが自然に料理に使われるようになりました」そう語るのは、20年以上にわたりインド・スパイス料理を研究されている香取先生。
日本では、インド料理は辛くスパイスの種類が多いほど"本格的"と思われがち。しかし、現地はその通りではないといいます。日本で普及しているインド料理の多くは、実はほとんどが宮廷料理をベースにしたもの。
「インドの家庭で日常的に食べられているのは野菜や豆を中心とした菜食料理で、辛すぎずしつこくないもの。お母さんたちは、家族の体調やその時の気候に合わせてスパイスを調合して料理をしています。インド人が厳しい気候の中で体を守り、体調を整えているのは、レストランの豪華な食事ではなく、やさしい味の家庭料理なんです」
香取先生ご自身も、その魅力を体感した一人。
「20年以上前にボランティアでインドを訪れたとき、過酷なキャンプで体調を崩して。それを助けてくれたのが、心と体に染み入るようなインドの家庭料理。そのおいしさは、人生観をも変えるものでした」
そんなヘルシーなインド料理の基礎となるのが、スパイスの知恵。血行を促進することで栄養を身体に巡らせる、新陳代謝を促進するなど、その効果や働きはさまざま。脂肪燃焼や便秘解消など、美容効果を持つものも多いのです。素材のおいしさを引き出してくれるから、食欲がない時でも、栄養が豊富な旬野菜・豆類がたくさん食べられるのもうれしい!
でも、スパイスは種類が多く、使用方法がわからないという人も多いはず。使いこなすためのコツは?
「たくさんの種類を揃えなくても、基本的な5つ程度のスパイスを組み合わせるだけで、本格的な味が作れます。1種でできるものからスタートして、組み合わせを覚えていくといいですね」
香取先生の近著『たった5つのスパイスで! インド家庭料理「カレーとサブジ」』は、そんなスパイス使いのコツが凝縮されたもので、スパイスの入門書にぴったり。野菜と豆を使ったオールベジタリアンのレシピは、東から北インドの家庭料理をベースに日本の気候・食材にあわせたスパイス使いで、日本人でも毎日おいしく食べられるものばかり。
さらに、スパイスは料理のほかにも、意外なところで活用されているそうです。
「例えばターメリックは傷口の殺菌に使用されるほか、美肌効果もあるので、エステやコスメにも使われているのは有名ですね。また、カルダモンは気持ちを落ち着ける働きがあり、口臭を取る働きもあるので、私も持ち歩いて食後にかじったりしていますよ。さらに、体温の調節をサポートするので、空調が原因の冷えにもいいですよ」
最後に、カルダモンを使った夏バテにぴったりのスペシャルドリンクを教えていただきました。
「暑い時期におすすめなのが、炭酸水にカルダモンと岩塩、砂糖(またはガムシロップ)を入れ、レモンを絞ったインドでも人気の"ニンブーソーダ"。胃にやさしいクミンをプラスしてもいいですね。ただし、体が冷えるので就寝前は避けましょう」
[取材・文/渡辺満樹子]
・覚えておきたい基本のスパイス5種
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