「この携帯サービスはグリーン電力で動いています」「この雑誌はグリーン電力で印刷されています」などと書かれた、グリーン電力でできた商品やサービスを見かけたことはありませんか?今回ご紹介する日本自然エネルギーは、全国に急速に広まっているグリーン電力を使った商品やサービスを提供できる仕組みを作った立役者です。
日本自然エネルギー株式会社ができたのは7年前。きっかけは、ソニー株式会社で石油、石炭などのCO2排出量の多い化石燃料ではなく、CO2排出量が低い電力供給を使えないか、という話が出たことでした。最初は工場内に風車を置いて発電することも検討しましたが、風車はいい風が吹く場所に置かなければ風力発電ができないので断念。他の自然エネルギーによる発電も自然条件に左右されるため、企業の一事業としてやるにはリスクが高い。それならどうする?と悩み、東京電力の担当者などと相談して出した結論が「企業ごとに持つのではなく、グリーン電力を発電した実績の証明として、グリーン電力証書を作る」というヨーロッパなどで普及していたアイデアでした。そして、このアイデアを用いて設立されたのが日本自然エネルギー株式会社です。
グリーン電力証書の仕組みは、次のようなシステムです。風力やバイオマスなどの自然エネルギーは「電気そのものの価値」に加えて「省エネルギー」「CO2削減」などの価値を持っており、これを日本自然エネルギー株式会社では「環境付加価値」と呼んでいます。この環境付加価値を持つグリーン電力を使いたい!と決めた企業は、グリーン電力にしたい電力量に合わせてこの環境付加価値分の費用を、日本自然エネルギー株式会社に払います。
「その費用は、通常の電気代を100とすると、その30〜50%程度です。私たちはいただいた費用から認証・証書化等にかかる諸経費をひいた金額を自然エネルギー発電事業者に発電委託のかたちで支払い、発電設備の維持・発展に役立てていただいています。そして、外部のグリーンエネルギー認証センターが、発電実績を認証しています」(日本自然エネルギー株式会社広報・河村えびねさん)。
自然エネルギーの施設から直接、電力を買うのではないですが、間接的にグリーン電力を支援することができる、参加しやすい、画期的な仕組みです。
では、この仕組みを取り入れている事例は? 建物ではソニービルやサントリーホール、ライブハウスのZeppなどで利用しています。工場での利用も多く、森永乳業は乳牛の糞尿からでるメタンガスなどを利用して発電するバイオマス発電を選んでグリーン電力証書を買っています。また、製品で有名なのは池内タオル(株)の「風で織るタオル」。工場で使われる電力25万kWhをすべてグリーン電力でまかなっています。携帯の乗換案内や道案内サービスを運営しているナビタイムや雑誌リンカラン、ソトコトもグリーン電力を使っています。イベントでの利用も多く、環境イベントに加え、東京都庁のライトアップ、プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)やJリーグの試合や、野球のセリーグ・パリーグ交流戦などでもグリーン電力を使っています。
このグリーン電力証書の仕組みは、今のところ企業向けのみでおこなっているのですが、最終的には個人むけにもやりたいとのこと。最近では家電量販のエディオングループの店舗で、お買い物でたまった500ポイントを50kWhのグリーン電力証書と交換できるサービスができたそうです。「グリーン電力証書の仕組みは、グリーン電力を使ったことにできる仕組み。これが自然エネルギーを推進していく支えになっています。今後は電化製品に証書をつけたり、クレジットカードのポイントサービスの一環にしたりできれば、と思っています」(河村さん)。
今後もますます発展していくグリ−ン電力証書。まずは身近にある商品やサービスを買うことで、応援していきましょう。
取材・文:阿久津美穂(Slow Media Works代表)




