先日の夜中、テレビで興味深い特集を観ました。NHKの「こ
だわりライフ ヨーロッパ」という番組です。
イギリスの南東部バッキンガムシャーに住む、視力を失った
写真家、ケン・キーンさんという人のドキュメントです。
キーンさんは、何度も写真のコンテストで入賞をするような
大変熱心なアマチュア・カメラマンでしたが、病が元で10
年前に視力を失ってしまいました。けれども、ケーンさんは
カメラを諦めずに、毎週写真好きの友人と一緒に愛用の大型
カメラをかかえて、撮影に出掛けるのです。
行き先は、古い修道院などの歴史建造物。風の流れや音で建
物の大きさや光の指す方向を判断し、頭の中で構図を書くの
です。またプリントも、紙に薬を塗って印画紙も自ら作って
いたりして、本当に楽しそうでした。
かすかな光をたよりにシャッターを押す。
イギリスはバッキンガムシャーの写真家、ケン・キーンさん現在、キーンさんは視覚障害を持った人たちへの写真指導など
もしています。番組の中で、若い生徒さんに直接大型カメラの
使い方などを教えるシーンもあったのですが、彼らは日常生活
で杖を使っているくらいなのに、撮った写真はやはり大変面白
いのです。
なので「視力を失っても、心の目で写真を撮る事は出来るので
す」という、キーンさんや生徒さんの言葉は、とても現実的で
力強く感じるのでした。王立写真家協会の昨年の写真集に、ケ
ン・キーンさんの作品が収められています。逆光や影などを見
事に掴み、建築物の質感も触ったときの温度まで感じそうな、
とても素晴らしい作品でした。
話は少し変わりますが、こちらも夜中にやっている私の好きな
番組”CBSドキュメント”で放送されていたもので、「心臓に宿
る記憶」というような特集を観た事がありました。
これは、心臓の移植手術を受けたあるアメリカ人女性の話なの
ですが、彼女が手術を受けて退院後、嫌っていたジャンク・フ
ードを好んだり、大股で歩くなど、食べ物の好みやしぐさ、言
葉遣いなどに大きな変化があったので、不思議に思った家族が
提供者(ドナー)の所在を探すことにしたのです。
図書館に保管されている新聞の記事から探し出し(その当時、
病院では臓器移植手術について、ドナーの情報は受領者に伝わ
らない様、様々な規則があったため)、ご家族に会ったところ
なんとドナーは交通事故で亡くなった少年で、その女性が移植
後に欲した食べ物などの好みが、生前の少年のそれと全く同じ
だったというのです。こうした話は科学的に説明が着かないに
も関わらず、とても多いのだという事でした。
脳にだけではなく、私達の心臓の細胞にも記憶は宿っているも
のなのでしょうか。その答えは今の医学界ではまだ出ていませ
んが、私は、心で考える」という事を、この番組を観た時に考
えました。
昔から、「胸に手を置いて考えなさい」などと言う事がありま
すが、もし心臓の細胞に記憶が宿るものならば、私達は「心臓
で考える」という事もしていたりしないだろうか、と思ったの
です。その答えももちろん分かりませんが、そんな事をボンヤ
リ考えているうちに、「頭で思う」という考えも面白いなと思
いました。
「頭で考える」のではなく、「頭で思う」。そして「心で思う」
のでなく「心で考える」です。
それ以来、私はそんな事をよく意識するようになりました。
何となくなのですが、もし人間が”頭で思い、心で考える”様に
したら、今より色々な事がまともになりそうだなぁと思ったか
らです。
心の目で見る事や考える事も、私達に出来るのかもしれません。
諦めないことが大切、キーンさんの笑顔が心に残った夜でした。
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