ミュージシャン。'91年デビュー以降、国内外問わず数々の作品を発表、'98、'99全米ツアーも行う。NHKFMのパーソナリティー、連載コラムや映画コメント執筆、字幕監修なども手掛ける。近年、菊地成孔氏や大友良英氏らのセッションにも参加し話題に。'06年に映像作品「kochab」とアルバム「NUNKI」をリリース。'07年2月のツアーを皮切りに全国各所でのフェスやイベントに出演。7月にはライブDVD, 数々のアーティストと共演した楽曲を収録したコンピレーションアルバムをリリースする。
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今日は日曜日。朝早く散歩に出かけると、まだ人影はなくて空気も静かなままです。ただ、この春の日差しと昨夜の雨に濡れて、どんどん成長していく近所の木々だけが、すっきり目を覚ましているような感じがします。
愛犬ゴメスが気に入っている、いくつかの散歩コースを毎日繰り返し歩いていると、無意識に気になる家や場所が出来るのですが、ただ本当に何となくなので、今まで写真を撮ろうと思った事がなかったのです。でも今朝は少し、そこら辺を意識してみながら歩くことにしました。
こうやって自分で撮った写真を観てみると、住人が大切にしていながらも何だか雑に育ってしまった、ちょっとはみ出し気味の植物とその家、のようなものが気になっているようです。
ガーデニングの写真集やインテリア雑誌の庭特集にはとうてい載りそうにもない、でも普通な感じでもない、この絶妙な感じが面白いなぁと思います。ぎりぎりバランスが取れていなくて、少しポンと押したら大変なことになりそうな雰囲気は、同時にのんきな風貌をしていて、ひとまとまりで見ていると、ちょっとした街角のトトロのようで、ざわざわと動き出しそう・・。
一本道を挟むと向こう側には見事な桜並木があって、足下に可愛らしいスイセンやスズランをたくさん飾り、満面(開)の笑みをたたえています。道行く人々を今日一日、楽しませてくれる事でしょう。それに引き換えこのモジャモジャ達は・・!
でも本当は皆気付いていないだけで、やっぱり桜よりも愛されているんだろうなぁと思いました。なくなってしまったら、きっとポツンと寂しくなってしまうような、ただの何気ない風景。
せっかく桜が満開なのに、今日も雨が降りそう・・そう思って空を見上げたら、たるんだ電線に小さな鳥が2羽寄り添っていました。そしてまた、なんだかいいな、と思いました。
先日、ニコラス・ゲイハルター監督の「いのちの食べかた」というドキュメンタリー映画を観に行きました。この作品はタイトル通り、私が日々食している肉や野菜がどのように育てられ、どうやって私達のもとへ運ばれているか、という、「食物」を産み出している現場の数々を描いたドキュメンタリーです。
野菜や魚が私達の食卓まで運ばれる様子は、テレビや雑誌などで取り上げられる事もありますが、やはり農薬や消毒液などを散布するシーンなどはイメージが良くない為、放送される事はほとんどありませんし、食肉に関しては、特に屠殺の現場など残酷な映像が多いため、私達が観る機会はほとんどないといって良いでしょう。牛乳やヨーグルトのコマーシャルでは、ピンクのリボンを付けた可愛い牛ちゃんが、さわやかな牧場でダンスを踊っていたりするけれど・・!
この作品はそういった、普段私達が密接に関係していながら意識的に、また無意識的にも避けている出来事を、包み隠さず目前にポンと提示しています。
「いのちの食べかた」には、ナレーションもインタビューも音楽も入っていません。ただ淡々と事実だけを撮影し、編集されています。カメラはその現場をシンメトリーに美しく捉えていて、なのでそこには強いメッセージよりも私達のこの世界の、現実の切り取り方のような事が、もっと手前にドンと置かれていました。シンプルすぎるくらい説明が入っていない作品なので、多分、観る人によってこの作品から受ける印象や捉え方はけっこう様々なのではないかと思いました。
例えば・・動物虐待について考え、もう肉は食べられない!と思う人、すべての食料や商品などの生産の仕方について淡々と考える人、また、現代人の健康や価値観を黙々と思う人などです。けれど、様々な感想の中でも多分共通するのは、とにかく全ての生き物が他の命から命をもらい生きている、という事を実感する作品であるだろう、という事でした。
環境問題から私達の食卓まで、大きく感じる問題と日々の個人的な小さな現実は、本当は直結しています。けれど、沢山の人々はそれを実感する事がなかなかできなかったり、どうにかしないといけないのかな、と思っていても、多かれ少なかれ、個人が今の環境や昔から慣れ親しんだ習慣を変えるのは無理だと思ってしまっています。
この作品は、そういう私達にまさに必要な作品なのではないかと思いました。これを観る以前と以後では何かが確実に変わる、そんな強力な作品でした。