鹿児島の仙巌園に続き、滋賀県にある彦根城からお招き頂いて、その中にある能楽堂でライブをしてきました。彦根城は国宝に指定された4城の一つであり、世界文化遺産の暫定リストにも登載されている名城です。
彦根城は、そのお城自体だけではなくて、博物館の資料の数や質、美しい城下町や琵琶湖などスケールが大きく、全体が文化財の宝庫の様でとても驚きました。
また、近郊にあった城郭から石垣や櫓そのものを移築したり、部材などを集めて創建されたと言われ、これも彦根城の一つの特徴となっているそうで、江戸時代の初期に、現在のリサイクルにあたる手法によって城が築かれたという事も、とても興味深く思いました。
約3万8千件におよぶ井伊家伝来の大名家資料を中心に展示された、博物館の中にあるその能舞台は、「動的な博物館」として、能・狂言をはじめとする伝統芸能の上演などを行っているのですが、その「動的な博物館」という発想も、古い物がうやうやしく、顔色が悪そうに並べられているのではなく、伝統が現代にまで続き、生き生きと動いているイメージがあって、素晴らしいなと思いました。
数年前からお能に興味を持って、時々観賞に出かけたりしているのですが、特に前回のアルバム「NUNKI」を制作していた時に、能楽堂やお寺などの特殊な場所の音響を気にしていたので、そのアルバムの曲を本物の能舞台で、しかも江戸時代に作られ国宝にもなっている、美しく貴重な舞台で演奏出来るというのは、本当に夢の様な出来事でした。
お能は元々儀式であった為に、その舞台は単なるステージではなくて、もっと聖なる場所という印象があり、また普段は観客としていつも席から眺めているものであったので、到着した日に初めて舞台に登った時には、何だかとても緊張して鳥肌が立ってしまいました。メンバーの大友良英さんやZAKさん(サウンドエンジニア)、今堀常雄さん(ベース)石川高さん(笙)も、それぞれ手などを叩いて音の反響を確かめながら、「素晴らしい、ここは凄いわ・・」と何度も言っていました。
当日は、鼓の仙波清彦さんも合流してライブが行われたのですが、仙波さんも「今日は鼓が嬉しそうだよ?」と仰っていました。ライブが始まって、最初の一音を聴いた時に、何か特別な響きがあったので、”今日は凄いことになりそう・・!”と思ったのですが、やはり素晴らしいものになりました。観に来て下さった方も仰っていたのですが、舞台全体が一つの楽器のようになっていて、特に鼓の音はその中から響いてくる様でした。また観客からは、私の声やギターや笙などの音が、舞台を出たり入ったりするように聴こえて、まるでモノノケのようだったそう。面白いです。
この能舞台の特徴は、舞台・後座(あとざ)・橋掛りの下から見つかった漆喰製の桝(ます)にあるそうで、この桝には音響を高める効果があり、当時十分な配慮のもとに設計されていたことがわかります。400年前に、そのような仕掛けが作られていたと知ると(毎回、建築を見学する時などに思う事なのですが)人間は一体進歩しているのだろうか・・と思ってしまいます。一進一退で結局なにも変わっていないのかしら・・どうなんだろう。博物館の中の資料を拝見しながら、日本や世界の歴史、文化など・・色々な事を考えていました。
彦根城のスタッフの方や、照明の方々、皆さんとてもプロフェッショナルかつ、暖かい方々で、とても素晴らしいツアーをする事が出来ました、また、打ち上げも夜遅くまで、宵っ張りのミュージシャンに付き合ってくださり、本当にありがとうございました。
またゆっくりと訪れたい場所が増えました。。!