友人と2人で北アフリカのモロッコに行ってきました。
彼女はビデオ、私はスチールの撮影旅行です。

毎日オンボロの車に乗ってアトラス山脈を越えたり、ラクダに乗ってサハラ砂漠でテントを張って一泊したりしながら、日の出から日の入りまでずっと風景や光を追い続ける日々を送りました。
都市部や観光名所のような所はあまり寄らずに、ここは何処なんだろう?と思う様な、ただ360度地平線が広がるジャリだらけの土地や、夜になると天上が無数の星々ですっぽり包まれる真っ暗な電気も通っていない田舎で過ごした今回の旅は、とても貴重な体験になりました!
ところで前回は建築の話でしたが、モロッコの建築もとても面白かったので紹介しますね。
モロッコの典型的な民家モロッコの伝統的な建築は、主に土で作られています。
アイト・ベン・ハッドゥという、世界遺産にもなっている小さな村に泊まった時にベルベル人のオーナーが教えてくれたのですが、まず、敷地を掘って平らにした所にビニール・シートのようなものを敷いて土台を作り、日干しレンガや藁を混ぜた土で壁などを作ります。そして天井に竹の様なものを渡してから、そこにまた同じ藁を混ぜた土を上塗りして仕上げていくそうです。ビニール・シートはもちろん最近使用されるようになったのでしょうが、それでも殆ど変わらない方法で作られているようでした。
アイト・ベン・ハッドゥのホテル驚いたのは、そのホテルのバスタブも壁と同じ土から出来ていた事です・・!
説明が難しいのですが作り方はまさにシンプル。つまり壁やバスタブ、床がすべて一体化しているのです。その上に塗られている塗料もペンキのような耐水性があるような感じではなく、水性のような透明感のあるパステル系の薄いブルーなので、まるで美しい映画のセットやアートのオブジェのように見えました。とても大きい浴槽なのですが、お湯を貯めてはいけない感じです。雨量が少なく大変乾いた土地なので、水が蛇口から出てくる事自体有り難く感じる訳で、とてもバスタブにお湯を張ろうという気持ちにはなりません。しかも、溶けてしまいそう・・。
けれど、そこにオーナーの宿と客に対する愛情や誇りを感じて、心が洗われるような気持ちになりました。
そういえば、昨年ニュー・メキシコに行った時も、民家がテラコッタのような土から出来ていた事を思い出します。家の中は、外の強い日差しで疲れた目を癒すように薄暗くなっていて通気性もよく考えられているので、冷房も入っていないのにヒンヤリしていたのですが、モロッコの建築も同様です。
とても離れた場所で似た様な建築があるという事は、それが人間の生活の知恵から来ているという事を実感させてくれました。
 | アイト・ベン・ハッドゥの街並 |
メルズーガで、崩壊した家を直す人達アイ・ベン・ハッドゥの後、2人はメルズーガというサハラ砂漠の入り口にある村に向かったのですが、向かう途中で悲しいニュースが耳に入りました。私達が訪れるちょうど1週間程前に大洪水が起こり、小さな民家や宿が崩れて無くなってしまったのです。
何百年以来の大災害だそうで、私もその傷跡を目にしました。
乾いた土地だからこそ生きている建築ですから、大雨に耐えられるはずがありません。
けれど、地元の人々は皆、セ・ラヴィだと言うのです。自然に密着した生活を送っているから言える逞しさを強く感じました。