友人から一冊の本が送られてきました。
「ありのまま 梶田真章」。
梶田真章、という名前を聞いてすぐピンとくる人はそれほど多くないと思います。でも
法然院と言えば、ああ、京都の、修学旅行で、などとすぐ思い出せるでしょう。
梶田さんはその法然院の貫主、つまり住職さん。ちょっとユニークなのは、法然院森のセンターを作って、自然環境に親しむ活動を続けたり、お寺そのものをコンサートや展覧会の場として解放するなど、新しいお寺の在り方を提示されているところ。ラジオパーソナリティまで務めているとか。
サブタイトルに「ていねいに暮らす、楽に生きる。」、帯には「日々を生きやすくする42のヒント」とある。
これっていわゆる、「人生こうすればあなたもハッピー!」といった幸せハウツー本ってやつ?いえいえ、そうではありません。じゃ、なんなんだと言われれば、どううまく答えていいのかが難しい。けれど、こうしなさい、ああしなさい、といった答えがあるわけではない。
あくまでも仏教というものを通して、乱れている水の流れをすっと通してくれるような、そんな感じです。うん、やっぱりヒントではあります。宗教のある側面はそもそもそういうことなんだし。
特に、劇的に毎日が変化している人へよりも、どこか停滞している、ルーティーンの中で沈んでいる人にはぜひ手にしてほしい。
私も最近でこそ、展覧会の機会や、ちょっとした仕事などありましたが、渡米してからは、急に仕事がなくなってしまった喪失感にどっぷり。
その後、娘を出産したらしたで、毎日家の中でひたすら同じ事を繰り返しているように感じられるばかりで、時に文句タレタレでした。
(「でした」じゃなくて、今も時にタレタレしておりますが。)
状況でこそ違うけど、多かれ少なかれ、そのような閉塞感を覚える人へは、不満のかたまりがマッサージされて、コリがとれていくと思います。
この本のために、梶田さんの言葉をまとめあげたのが、送り主であるノンフィクションライターの村松美賀子さん。
文化と生活という幅広いフィールドから見つけられる各々のテーマに、東京、ロンドン、そして京都という、彼女自身が生活している土地も、大事な切り口となっています。
私たちと違う仏門に生きる、違った世代の、異性の話し手に対して、私たちと同じ俗世の、同じ世代の、同性である聞き手がまとめるということ。言葉の入りやすさには、彼女のフィルターが大きく働いています。
取材の会話の中で、どのようなやりとりがあり、最後にはこのような形になったのか、そのことを意識しながら読むと、またおもしろいと思うのです。
加えて、本の中程にまとめられた、鈴木理策さんの写真も、いつもながら静かな映画を見ているような、いい感じ。
本をぱたんと閉じて一言、ああ、桜が満開のうちに京都へ、法然院へ行ってみたいものですなあ。
『ありのまま』 梶田真章(リトルモア)1500円(税抜)
詳細は
こちらリトルモア HP
http://www.littlemore.co.jp/法然院 HP
http://www.honen-in.jp/INDEX.html
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