vol.5 時代を超えて愛されている 椿油

「髪は女の命」。ひと昔前の日本では、こんな言葉をよく耳にしたものです。それほど日本人女性は、「自分の黒髪をいかに艶やかに健康に保つか」に心を砕いていました。
ところが現在は、ヘアスタイルの流行に応じてウエーブやヘアカラーが施されたり、ドライヤーの熱風や強い紫外線にさられたりするなど、髪にとっては常に過酷な環境がとりまいています。そのため、枝毛や切れ毛、パサつきなど、不健康な髪の状態に悩む女性も増えてきました。
![]() ツバキの花 |
![]() 椿油の原料となる、椿の種子 |
記述によると、すでに『続日本記』には椿油の存在を示す記述があり、日本では古来より使用されていたことがうかがい知ることができます。
椿油とは、椿の種を砕いて圧搾し、油分のみを取り出したものですが、他の植物油と比べて優れているのはその“不乾性”“酸化のしにくさ”にあります。
椿油メーカーの老舗『大島椿株式会社』広報室の佐々木やよいさんは次のように説明します。
「油脂にもさまざまな種類があり、なかには空気に触れると蒸発したり、酸化して変質してしまったりするものもあります。しかし、椿油は不乾性の油脂であり、酸化しにくい油としても代表的なものなので、そのような変化が起きにくく、安定した品質を保つことができます」

年に一度、しかもひと粒の実からわずかしか搾油されない稀少な椿油
「ほかにも椿油には、サンバーンを起こす紫外線(UV-B)の防御効果、静電気の抑制効果もあります。また、被膜を作ることで耐熱効果も期待でき、ドライヤーの熱から髪を守り、キューティクルの傷みを防いでくれます。椿油でケアすることで外部からの刺激から守られるため、毛髪の強度が高まり、切れ毛や裂毛が起きにくくなるのです」(佐々木さん)
わたしたちの毛髪や皮膚になじみがいいのにも理由があります。椿油は『オレイン酸トリグリセリド』という成分を80%以上含有しているのですが、これはまさにわたしたちの肌から分泌される皮脂に含まれる成分。同質のものだからこそ、肌なじみがよく刺激になりにくいのです。
「また、椿はさまざまな環境に左右されにくい非常に強い木。農薬を使用せずとも、健やかに育つ植物なんですよ」(佐々木さん)
自然志向が高まる現在に再び注目されている理由のひとつには、自然環境にやさしい素材であることもあげられるでしょう。
![]() 歴代の『大島椿』 |
![]() 左より、精製ツバキ油100%『大島椿EXエッセンスオイル』40ml/希望小売価格¥2,625(税込)、ヘアケア用ツバキ油100%『大島椿』60ml/希望小売価格¥1,365(税込)、クレンジングオイル『オイルマジック 肌質オイルクレンジング』120ml/希望小売価格¥2,730(税込) |
「以前は、ツゲ櫛や刃物、将棋盤の手入れ、床や柱の艶出しなどにも使用されていました。『油ぞうきん』といって、乾いた状態のぞうきんに椿油を数カ所染み込ませてしばらく干したあと、そのぞうきんで拭き掃除をする……というのも、古くからある利用法です」(佐々木さん)
ホコリが舞い上がらずに掃除ができ、つや出し効果もあるので、まさに一石二鳥。ほかにも最近では、ナチュラルクリーニングとして、革製品の汚れを重曹で取り除いたあとにお酢と椿油をブレンドしたものでトリートメントしたり、また天然毛のチークブラシなどを洗浄したあと、毛先を椿油でパックしてケアしたりするなど、椿油の利点を活かしたさまざまな使われ方をされています。
とはいっても、椿油の本領発揮はやはりヘアケア。
「ベタつきが気になる」という声をときどき耳にしますが、それは個人の適量を把握していないから。使用目安は、髪質にもよりますが、ショートヘアで1~2滴、セミロングヘアで2滴、ロングヘアで5~6滴。髪の傷み具合や毛量によって使用量には個人差があるので、まずは少量から試して、自分にあった適量を見つけるといいでしょう。
今回、佐々木さんに「初心者にお勧めの、椿油のヘアケア」を教えていただきました。日頃、厳しい環境にさらされている髪の毛を、椿油の力で艶やかに蘇らせてみませんか。日本に古くから伝わる自然の恵みの底力を実感できるはずです。
毛先のパサつきや枝毛を防ぐ、アウトバス・トリートメント
1 シャンプー後、タオルドライします。
2 適量の椿油を、手のひらに薄く伸ばします。
3 毛先を中心になじませます。
傷んだ髪に潤いを取り戻す、オイルパック
1 シャンプー前の乾いた髪に、椿油をしっとりするまでなじませます。
2 蒸しタオルで髪をおおい、しばらくおきます。
3 お湯でよく洗い流し、シャンプーで2度洗いをします。
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