MYLOHAS.net住宅特集 vol.1
古紙がアートに生まれ変わる 「アースリパブリック」の可能性

会場は、隈研吾氏の代表作でもある「梅窓院」の祖師堂今まで、埋め立てや焼却といった方法でしか処理されることのなかった古紙が、最新の技術により生まれ変わったムース状の素材、それが“アースリパブリック”です。
再生紙にすればいいのでは?と思われるかもしれませんが、シュレッダーにかけられた紙くずなど紙繊維が短い古紙は、これまで再生できず、処分されるだけの存在だったのです。
このアースリパブリックは、紙くずの有効な再利用というだけでなく、紙が原料となっているため燃やしたときに有毒ガスが発生しないのも大きな特徴。
まだ記憶に新しい、2003年に韓国で起きた地下鉄の火災事故。
この事故で亡くなった方の多くは、列車の断熱材に使われていた素材が燃えた際の有毒ガスによるものだと言われています。
事故後、韓国の地下鉄では、燃えても有毒ガスの発生しないこのアースリパブリックに断熱材を変えられたそうです。
このまったくの新しいマテリアル、アースリパブリックを使って、隈 研吾氏(建築家/日本)、フランソワ・アザンブール氏(インダストリアル・デザイナー/フランス)、アイ・ウェイ・ウェイ氏(アート・ディレクター/中国)の世界を代表する3名が集った、アート・エキシビジョン『やさしい物達』が開催されました。
会場にはいたるところにアースリパブリック製品が。この日、関係者が座っていたのもアースリパブリックのチェア。見た目はちょっとグリーンがかった発泡スチロールのようですが、座り心地は絶妙。程よく重さを吸収するため身体にフィットするのです。かつ軽くて丈夫とくれば、可能性は無限大。
そんなアースリパブリックの特性と魅力を活かした、三者三様の作品を前にしながら、三人に作品について、そしてアースリパブリックについて伺いました。
建築家
隈 研吾氏インタビュー

そして今回の『やさしい物達』の企画者でもある隈 研吾氏。
まず第1回めの今回は隈氏にインタビューしました。
※『やさしい物達』開催に寄せた、隈氏によるメッセージ。
| やさしい物達 今、人と物との関係がかわりつつある。 物をどんどん作り、作っては捨てる時代は終わった。 いまそこにある物を、大事に大事にする時代の中に、われわれはいる。 時間がたって、物がいたんできたら、もう一度再生する努力をして、 さらに長く長く使っていこうという時代なのである。 そういう時代には、物はえばっていたり、めだちすぎたり、ぎすぎすしてはいけない。 そういう物達とは長いつきあいはできない。 やさしくて、邪魔にならないような物達となら、長いつきあいができる。 大事に大事に使っていくことができる。 今回はそんなやさしい物達とアーティストの出会いを形にしてみた。 アーティストはリサイクルされた物達を選び、それを作品という形に昇華させた。 それは物の新しい在り方の提案であると同時に、人間と物の新しい関係の提案でもある。 |
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| 『テープで止まるほどのやわらかい紙』(隈 研吾)/接着剤などは一切使用せず、テープだけで止められています。軽く、やわらかいアースリパブリックだからこそできるもの。樽や籠など、昔ながらの日本的なモノに通じるものがあります |
![]() 蛍光灯ではなく、下からのLEDライトで照らすとよりいっそう素材感が表れます。中に入ると、アースリパブリックの気持ちよい質感が感じられます |
アースリパブリックのいちばんの魅力は、断熱材というもともと裏方の素材でありながら、とてもきれいであったことですね。
もともとの素材そのものからインスピレーションを受け、モノを作り出す。(作りたい作品から素材を探し出すのではない)そういったスタイルの方がこれからの時代に合っています。
アザンブール氏、アイ・ウェイ・ウェイ氏は、注目していたアーティストたちなので、たいへんおもしろいと思っています。
見た目がきれいだということによって、より作品のメッセージ性も強くなると思っています。それが今回のエキシビジョンの見どころでもありますね。
作品を肌で触れてみたり、中で横たわってみたりするとよくわかるんですが、空間としての気持ちよさがあるんです。それが大事。お年寄りや子どもにもふさわしい素材なんですよ。
| 隈 研吾 PROFILE 1954年横浜生まれ。東京大学建築学科大学院終了後、コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員に。能楽堂「森舞台」(宮城・登米町)で日本建築学会賞を、「水/ガラス」(静岡・熱海市)でアメリカ建築家協会ベネディクタス賞を受賞するなど受賞歴多数。代表作に馬頭町広重美術館、長崎県美術館、ONE表参道、梅窓院などがある。現在、慶應大学理工学部教授を務める。隈 研吾事務所 http://www.kkaa.co.jp/ |





































