子どもが3人いて、どの子も食べ盛りだとしたら、当然手作りおやつはすぐに作れて且つ大きいものに限る。横浜中華街の照宝の34cmせいろは、そんなときに役立つ助っ人である。

牧場で飼っている鶏が、今冬の暖かさのおかげか玉子を未だ続々と生み続けているから、うちでは玉子に事欠くことはない。このところ毎日のように「小春日和だよねー」とか言っている気がするくらい、沖縄はポカポカ陽気だ。

自然界では玉子の旬は春、ないし秋。極めてひ弱なヒナを育てる環境として適温なのだろう。実際に、真冬にひよこを買ってきて育てたことがあるけれど、生存率は極めて低かった。12羽のうち生き残ったのは3羽。強靭なスーパーひよこである。なので盛夏と真冬に玉子がある、というのは自然の法則に逆らっている飼育方法とも言えるし、でもそのおかげでいつでも新鮮な玉子が食べられる、というありがたさもある

そんな玉子を6個使って蒸しパンを作った。玉子と水、砂糖をぐるぐるとよく混ぜて、次に粉とベーキングパウダーを加え、最後に菜種サラダ油を混ぜて蒸す。

油をごま油にすれば「マーラーカオ」になり、砂糖を黒糖にすれば沖縄風蒸しパン「アガラサー」になる。玉子と油をもっと使うと「シフォンケーキ」になって、水をココナッツミルクにすればきっと、南の国の「なんとか」というおやつになるのだろう。

そう考えると料理とは、世界中を駆け巡るうち、繋がって重なって、いろいろな場所でクロスして出来上がったおいしさもある。そして、ひとつの家庭でも工夫がなされ、個人の好みでも変わるという、生き物みたいなものだ

もうもうと湯気を立ち上がらせた蒸し器も、間もなく蒸し時間終了のタイマーが鳴り、「わあ!」という歓声とともに、皿に給仕される。(実際には、「わあ!」なんて可愛いらしい言葉ではなく、「でかっ!」だったけど)

玉子色のほんわかした巨大な蒸しパン。それでもまだまだ夢見る年頃の娘が「まるでぐりとぐらのカステラのよう」と言ってくれた。写真はすでに食い尽くされた「アフター」だけど、「ビフォア」は確かに「ぐりとぐらのカステラ」だったのだ。これでも。

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