このところベルギービールのおいしさは、日本でも広く知られるようになった感があります。私の住むフランス北部も、すぐそこがベルギーで、フランスとはいえ、ワインではなくビール文化圏に入ります。種類も豊富で、ビールってこんなにいろんな味があったんだ、と驚くほど。

季節に合わせて楽しむビール

面白いことに、季節ごとにおいしいと感じるビールも異なります。たとえば、夏の暑い時期は、これが一番! と思っていた白ビールに、寒くなってくると手が伸びなくなったり。春になると、3月ビールと呼ばれる軽めのビールが口に合うような気がしたり。

だんだん寒くなってくるこの季節はというと、濃い味わいのビールが欲しくなります。中でも一番恋しいのは、季節限定のビエール・ド・ノエル(クリスマスビール)

クリスマスビールの伝統

クリスマスビールは、もともと各醸造所が、従業員や上客へのクリスマスプレゼント用に作っていたものです。10月ごろから仕込み、秋の涼しさの中でちょうど良い具合に出来上がるのがクリスマス前後でした。その特徴は、スパイシーな味と、高いホップの香り。また、アルコール度も高めで、色も濃いのが普通です。

ジンジャーブレッドや、ホットワイン、ホットカクテルにも使われるスパイスやオレンジは、ヨーロッパでは、クリスマスと直接結びつく香りでもあります。当然、クリスマスビールにもこれらの香りがプラスされています。

醸造所ごとに工夫を凝らした香りづけ

世界的にも知られるベルギービール「Leffe(レフ)」の今年のクリスマスビールは、丁子(クローブ)とキャラメルの香りを生かした出来栄えとなっています。

20161202_noebeer.jpgレフのクリスマスビール2016

また同じくベルギーの「Affligem(アフリゲム)」のクリスマスビールは、パンデピスとオレンジと桑の実に、ローストしたモルトが混ざった香りだとか。

以前の記事で紹介したフランス北部ル・カトー・カンブレジの歴史ビール醸造所「Vivat(ヴィヴァ)」では、今年は、ルビー色に光を映す琥珀ビールを生み出しました。

20161202_vivat_beer.jpgヴィヴァの冬ビール2016

そのほか、オレンジとシナモンの香りをアクセントにしたものもあったりと、ラベルを読んでいるだけで、飲み比べたくなってしまうクリスマスビールがあれこれそろっています。

ビールの大ボトルのコルク栓を抜く要領は、シャンパーニュと同じです。あのポン! という音を聞くと気分も盛り上がるというもの。この冬のホームパーティ、クリスマスビールで乾杯というのも、なかなかよさそうです。

Leffe,Affligem,Brasserie Historique de l’Abbaye du Cateau

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