日本では秋の風物詩、さんまがおいしい頃でしょうか。イタリアには「日本と同じさんま」はありませんが、とてもよく似たコスタルデッレという魚があり、こちらも今が旬のようです。今回はこの、イタリアのさんまが主役のパスタを作ってみました。トマトの酸味とアンチョビのコクが加わって重層的な味わいです。

難しいことはしない、イタリアの魚料理

日本では最近、魚をイチから調理する家庭が減っていると言われますが、イタリアでも基本的に家庭で魚を三枚におろしたりといった面倒なことはしないようです

最低限の下処理(水洗い)は魚屋さんにやってもらって、家庭では一尾まるごと塩釜焼きやアクアパッツァ(トマトなどと煮込む)にしたり、ただ揚げるだけの唐揚げにしたりとひたすら豪快。香りの強いニンニクやハーブ、レモンで魚臭さはだいたい消えるので、たいして下処理(塩をしたり、酒をまぶしたり)をしなくても問題なし和食のように姿が崩れないように、などと気を付けることもありません。なぜなら、サーブされるときには尾頭も皮も骨もあらかじめ取り除かれて、食べられる身の部分だけが出されるからです。

下のレシピでは、さんまを丁寧に下処理しましたが、あえてイタリア流もご紹介するならば、さんまは水洗いしたあと二つに切るだけ。そのまま(3)で投入したあと、ソースができあがってからさんまを取り出して骨と身を離し(当然ながら熱いです)、身だけを戻す、というのがよくあるやり方です。

地中海が目の前で、新鮮な魚介類が手に入るからこそなのかもしれませんが、あまり細かいことを知らなくともおいしくできあがるというのは家庭料理にはうれしく、気軽に作ってみようという気になりますね。

さんまとトマトのスパゲッティ(4人分)

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【材料】

さんま 3~4尾

トマト 6~7個

セロリの葉 2~3本分

ニンニク 2片

トウガラシ 少々

アンチョビ フィレ4~5枚

白ワイン 大さじ2+200ml

しょうがパウダー 小さじ2

塩 適量

コショウ 適量

スパゲッティ 400g

【作り方】

1. さんまは水洗いして(頭を切り落として内臓をかき出し、流水できれいに洗う)、三枚におろし、頭から尾へ向かって皮を剥く。4~5cmくらいに切って、バットに入れて白ワイン(または日本酒)大さじ2をまぶしておく。小骨はついたままでOKです。

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2. トマトは3~4cmの大きさに切る。ニンニクは皮を剥いて包丁の面部分で押しつぶす。セロリの葉は手で細かくちぎり、トウガラシとアンチョビはみじん切りにしておく。

3. フライパンにオリーブオイル、ニンニク、トウガラシを入れて火にかけ、香りが立ってきたらさんまを入れて片面を焼き、裏返したら白ワイン200mlとセロリの葉、しょうがパウダーを加えて蓋をする。白ワインが沸いて、さんまに火が通ったらすぐにバットに取り出しておく。加熱しすぎるとさんまの身が硬くなってしまいます。

4. さんまだけを取り出した3のフライパンに、トマトとアンチョビを加えて炒め、蓋をしてトマトが崩れるくらいまでよく煮込む。トマトの皮の食感が気になる方は、ここで皮を取り出すか(簡単に取れます)、調理前に湯剥きしておきましょう。

5. その間にスパゲッティをアルデンテに茹でる。

6. 4にさんまを戻し入れ、塩・コショウで味をととのえる。

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このとき、煮詰まって水分が少なくなっていればスパゲッティの茹で汁をおたま1~2杯ほど加えてのばしておく。茹で上がったスパゲッティを加え入れて全体を混ぜ合わせればできあがり。

トマトの熟し具合や白ワインの味によっても多少仕上がりは変わるのですが、トマトはちょっと酸味があるものの方がさんまとの相性はいいように思います

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