幼い頃、夏の夜は毎日のように、父vs子どもで、テレビのチャンネル争いをしていました。野球のナイター中継を観たい父と、アニメやバラエティ番組を観たい姉と私。今ではすっかり穏やかに老後を過ごす父も、30年前はそれなりに威厳があって、争奪戦に敗れるのはたいてい子どもたち。

試合の勝敗が見えるまでは、姉とふたり、試合を横目でちらちら。絵を描いたり本を開いたり、父が「もうかえていいよ」といつ言うか、辛抱強く待っていたものです。

大学時代を過ごした大阪では、住まいのある駅から数駅先に、近鉄バファローズが本拠地にしていた「近鉄藤井寺球場」があり、何度か足を運んだことがあります。大学の教授だった小説家・小川国夫先生から、「藤井寺球場は野外球場で人もまばらで、授業の帰りにふらりと立ち寄り、夜空の下でナイターを観ながらビールを飲むのが気持ちいいんだ」と聞いて。

野球のルールを知らずとも、応援団の手拍子に合わせたり、点が入れば立ち上がって歓声をあげたり。今は取り壊されてしまったそうですが、野球にまつわる懐かしい思い出です。

野球ボール型の「カープ最中」

ポットを火にかけお茶の支度をしていると、ラジオのニュースから「広島カープ、25年ぶりに優勝か!?」の声。なんという偶然。

今日のおやつは、広島みやげの旭堂カープ最中」。今晩、優勝が決まる可能性もあるというではないですか! 中に粒あんと餅が入った、紅白の野球ボール型の最中を味わいながら、優勝で沸き立つ広島の街を思うのです。

[旭堂,カープ最中]

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