鹿児島で知られる氷菓といえば、白いかき氷を色とりどりのフルーツで、くまの顔にように飾りつけした「白熊」。もう10年も前になるけれど、『甘く、かわいく、おいしいお菓子』という本の取材で、白熊発祥の店といわれる、鹿児島の「天文館むじゃき」を訪れました。

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『甘く、かわいく、おいしいお菓子』のために撮影した、「天文館むじゃき」の白熊いろいろ。

「ストリベリー白熊」「チョコレート白熊」「プリンデコ白熊」など、まるで熊の群れのようなメニューから10種類を選び、『白熊一家の集合写真』を撮影。

天文館むじゃきで白熊が発売されたのは昭和24年。初代の社長がいちご狩りに出かけたとき、いちごにかける練乳をかき氷に転用してみたらどうだろうと思いついた。あれこれ試作を重ねる中、かき氷にアンゼリカとさくらんぼとレーズンをのせてみると、偶然にも熊の顔に見えた。初代の白熊は今よりずっとシンプルな見た目だったけれど、氷の中には求肥や羊羹を潜ませ手人を喜ばせた。果物や果物の缶詰がまだ高価だった時代。今のようにフレッシュな果物やクリームで飾り付けなどできなかったが、世が豊かになるにつれ白熊もどんどん立派になっていった。

そんな白熊誕生秘話や、邪気のない商売をしようと大衆食堂「無邪気」をはじめたときの話を聞きました。

鹿児島市内には天文館むじゃきの他にも、「白熊」「シロクマ」「白クマ」など、さまざまな呼び名で、フルーツをのせたかき氷を出す喫茶店や食堂があちこちに。鹿児島のソウルおやつと言えるでしょう。ゆえに鹿児島まで行かなければ、体の温度を涼やかに下げる、氷の熊に出会えないと思っていたら、東京にもいましたいました。つぶらな目のひんやり甘い熊。

昔から愛されてきたお店で、夏の定番かき氷を

中野の「梅家」は昭和31年創業の甘味屋。壁に並ぶ著名人のサイン色紙からも、昔からずっとたくさんの人に親しまれてきた店というのが伝わります。品書きは、おしるこやあんみつの他にも、いなり寿しやのりまき、おでんや鮭ごはんの定食も。男性ひとりでやってきて、さっと食事を済ませる人もかなりの数。

私が選んだ「白熊くん」。夏だけの限定で、そのときどき氷の上のフルーツが変わるよう。今日のは、白玉の耳に、缶詰みかんの口。氷の中には、メロンや練乳も隠れていました。

暑い季節のかき氷。コーヒー、レインボー、トロピカル、すい(白みつ)と、20種近くあるんです。

[天文館むじゃき]

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