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エスプレッソやカップッチーノなど、コーヒー文化の印象が強いイタリアで、知られざる「定番ドリンク」があるのをご存知でしょうか。それは、コーヒー豆の代わりに大麦を焙煎して作るカフェインレスのエスプレッソ「カッフェ・ドルゾ」。

イタリア発祥、庶民に愛されてきた飲みもの

古くは古代ギリシャ時代からあり、イタリアでコーヒー豆がまだ手に入りにくかった時代に庶民のあいだで飲まれていたものだそうですが、コーヒーが普及した現代では子ども向けコーヒーとして認識されています。私の夫も、小さいころはいつもカッフェ・ドルゾにミルクと砂糖を入れて飲んでいたといいます。

160809_orzo_01.jpgイタリアではごく一般的な存在で、だいたいどの喫茶店(バール)やレストランでも用意されていますし、スーパーでは本物のコーヒーの隣にずらっと陳列されています。価格も手ごろ。コーヒーと同じようにエスプレッソマシン、マッキネッタ、ネスプレッソなどで淹れる粒状のものと、インスタント(ソリュブル)コーヒーのように溶けるパウダー状のものとがあります。

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ヘルシードリンクとして人気が再燃

近年、健康志向の高まりから、このカッフェ・ドルゾがまた注目を集めています。カフェインレスであることに加えて、カリウムなどのミネラルを含み、血液をさらさらにしたり胃の粘膜を強化したりする効果もあるそうで、カフェインを避けたい妊娠・授乳中の女性や高血圧、胃の弱い人、あるいは夜に飲むコーヒーとして見直されているのです。カフェインレスなら「デカフェ」という選択肢もあるのですが、じつはカフェインの除去に溶剤を使っていたり、いくらかカフェインが残留したりするようです。

見た目はそっくり、味は苦くないコーヒーといった感じで、苦味や酸味を補うためにチコリやライ麦をブレンドしたものや、本物のコーヒーと半々のもの、はたまた有機栽培やグルテンフリーなどいろいろな種類があります。

うれしい発見。インスタント麦茶にもなる

日本人の私は「カッフェ・ドルゾをすごーく薄く作ると麦茶になる」ことを発見しました。グラスにソリュブルタイプを小さじ1/3ほど入れて水に溶かせばできあがり。お湯を沸かす手間さえなく簡単で、見た目も味も完璧な麦茶です。イタリアで、故郷の味・麦茶を気軽に楽しめるのはとってもうれしく、すっかりお気に入り。さらにうれしいことには、水の代わりにこの麦茶を飲むようにしてから肌のきめが整ってすべすべになったのを感じているのですが、ミネラルのおかげかもしれません。

日本ではほとんど知られていないけれど魅力いっぱいのカッフェ・ドルゾ。いつか日本でも人気になる日が来るかもしれませんね。

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