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私の母が作る蒸しプリンは、おやつというより卵焼きのようなおかずに近い、ちょっと不思議な味わいでした。甘くなく、舌触りはざらり。卵たっぷりで砂糖を控えた愛情たっぷりのプリンでしたが、子どもの頃の私は、スーパーで売られている、皿に開けるとふるふると揺れるプッチンプリンに憧れていました。離れて暮らす祖母の家に遊びに行くと、近所のスーパーで好きなものを買ってもらえるので、真っ先に3個パックのプッチンプリンをカゴに入れていたほどです。

プリンは定番でありながら、大きく好みが分かれるおやつ。昔ながらのレストランのデザートが出すかためのプリン。なめらかであればあるほど。駄菓子にもあったような懐かしい味の。プリンの好みを友に聞くと、いろいろな答えが返ってくるからおもしろい。私はどちらかといえば、なめらか派でした。

理想のプリン像、塗り替えられる

ところが、今日のおやつに食べたプリンで、理想のプリン像がすっかり塗り替えられました。缶入りクッキーで知られる麹町の「ローザ洋菓子店」のショーケースから、クリームとさくらんぼで飾られたカスタードプリンを持ち帰り、何気ない気持ちでパクリ。ひと口目で「ん!おいしい!」と頭が冴えて、ひとすくいごと大事に大事に口にしました。お店の方に聞いたわけではないので正確なことは分かりませんが、プリン生地にゼラチンを加えているのか、ゼリーのような弾力があります。これまで味わったことのないタイプが、もっとも好みのプリンとして浮上。暑さで食欲が低下するこれからの季節、ふとしたときに思い出し、愛おしくなるのでしょう。

[ローザ洋菓子店]

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