先日旅した北海道で、不思議なおやつに出会いました。袋には「オランダせんべい」と書いてあるけれど、見るからにそれはワッフル。~根室のおやつ やみつきになるもっちり食感~のキャッチコピーも、いわゆるかたいせんべいでないことを物語っています。

袋を裏返して原材料を確かめると、小麦粉、砂糖、黒砂糖、塩、重曹、植物油と、ごくシンプル。食べ方の説明書きもあり「そのまま食べるのが一番ですが、レンジやオーブン等で温めてバターやはちみつをつけて食べるのも美味です」と、ますます興味がそそられます。

求めて帰って、おやつの時間に。普通のおせんべいならば、緑茶を合わせるところだけれど、これはいかに。飲みものの支度をする前にちょっとだけ、端を味見してみたところ、ちぎり具合からしてなんとも独特。パリッと割れる米でできたせんべいと違い、もぎゅっと力を要します。これはコーヒーや紅茶が合うだろうと準備して、未知のおやつを頬張りました。

くせになる素朴さ。はしやの「オランダせんべい」

うーん、不思議! 思わず声をあげたけれど、「うーん」には、驚きと同時に感動の意も含まれています。おせんべいやワッフルが湿気たような食感ではあるけれど、これがどうにもくせになり、力を入れて噛むたびに、懐かしい口福を感じるのです。随分前のことですが、「貧しい時代はみんなのご馳走だったんだよ」と祖母がすいとんを作ってくれたことがあって、そのとき感じた口福の味と通じるものがあったのです。素朴なおいしさ。ほっとするおいしさ。黒糖の味がコクとなり甘美な後味が残ります。おせんべいには切れ目が入っていたので、半分はそのまま、もう半分は少し温めて味わいました。温めると口あたりがより和らぎ、より食べやすくなりました。

オランダせんべいを作っているのは、根室の「はしや」。江戸時代、オランダから長崎に伝わったお菓子が、海を越えて根室に根付いたそうです。昔はいろいろな店が作っていたそうですが、今ははしや一軒のみ。

日本は小さな国ながら、まだまだ知らないおやつがあるのだなあ。もっともっと知りたいなあ。おやつの奥の深さを噛み締めながらのおやつの時間でした。

[はしや,オランダせんべい]

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