ハワイといえば「フラ」というイメージがありますが、じつはフラが禁止されていた時代がありました。19世紀初頭にハワイにやって来たキリスト教の宣教師たちは、フラをみだらでわいせつなものとみなして禁止したのです。ハワイの歴史と風土に結びつき、ハワイ人の心のよりどころだったフラは、公の場から姿を消していきました。

ハワイの文化を取りもどした王の言葉

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フラを復活させたのは、ハワイ王国第7代目国王デイヴィッド・カラカウア王でした。王は50歳の誕生祝として、ハワイ文化を祝う盛大な祝典を開催しました。ハワイ各地から招かれたフラ・ダンサーたちは、約50年ぶりに公の場で踊りを披露したのです。

カラカウア王は、フラについて以下のように語っています。

“Hula is the language of the heart, therefore the heartbeat of the Hawaiian People.”

「フラはハワイの人々の心の鼓動です、心の声なのです。」

(デイヴィッド・カラカウア)

カラカウア王がいなかったら、フラは失われてしまったかもしれません。もしもハワイにフラがなかったら、アロハの心も失われてしまったかもしれないのです。自国の文化を否定され、言葉にできなかった想いが、この言葉に込められています。ハワイの文化を取り戻すきっかけとなったこの言葉は、いまでもハワイの人たちの心に響いているのです。

フラの中に編みこまれる英知

ハワイでフラを学びはじめて、この言葉の意味がよくわかるようになりました。フラは単なるダンスではなく、まさにハワイそのものなのです。すばらしいフラのパフォーマンスからはハワイの風の音、海の色、雨の香りが伝わってきます。

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文字を持たなかった古代ハワイでは、あらゆることがフラに編みこまれてきました。神話や歴史、家系、祈り、農業、天文学など、さまざまな英知が、フラによって語り継がれてきたのです。もしもフラが禁止されたままだったとしたら、ハワイ古来の文化は永遠に失われてしまったことでしょう。

2016年3月27日~4月2日に開催される「メリー・モナーク・フェスティバル」。ハワイ島ヒロで開催されているこのフラの祭典は、毎年カラカウア王に捧げられています。

2016年メリー・モナーク・フェスティバル

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