日本では出産後に仕事復帰して活躍しているワーキングマザーが増えていますが、じつはアメリカでは、出産後に仕事を辞めて専業主婦(夫)になる人が増えている傾向にあります。その主な原因として、行政の育児サポートが少ないという理由があります。

先進国で唯一、有給産休がない国

私はアメリカに移住後、地元企業に就職し今年で入社六年目。その間に2人子どもを出産しました。アメリカは先進国で唯一、有給産休がないため、私の場合は2人とも出産日の一週間前まで働き、出産後は12週未満の産休(もちろん無給)で仕事復帰しました。

また、産後に仕事復帰となると子どもを預ける必要がありますが、ここ、アメリカでは1人保育園に預けるにしてもかなりの金額がかかります。州によって物価の差はありますが、私が住んでいるワシントン州では平日フルタイムで1人を預けた場合、日本円で約10万~15万円が相場になります。つまり子どもが2人以上となると、普通の会社員の場合、収入のほとんどが保育料に持っていかれてしまうのです。

ベビーシッターも利用できますが、この辺りの相場は時給$15(日本円で約1,700円)ドル程度。フルタイムで預けると保育園より金額が高くなるため、裕福な家庭か、ときどきどうしても必要なときに利用するという家庭が多いようです。

高い保育料を払うか、仕事を辞めるか

私の同僚でも2人目出産を機に仕事を辞めた人が何人もいますが、一方では、多額の保育料を払ってでも、仕事を続けたいと、続けている方もいます。その選択は各家庭によって違うと思いますが、収入や会社の福利厚生、仕事に対する価値観などさまざまな要因がポイントになると思います。いずれにしろ、仕事と子育てを両立させるには、「仕事を続けたい」という強い意志と、行政や家族など「周りのサポート」はとても重要になります。

日本や他の先進国と比べると、有給産休もなく、育児サポートも少ないアメリカですが、オバマ大統領もまずは公務員から有給産休を取り入れようと力を入れています。今後、産休制度が整い、行政の育児サポートがもっと充実すれば、ワーキングマザーにとっても、より働きやすい環境になるはずです。今はたいへんですが、試行錯誤しつつ仕事も子育てもと頑張りながら、少しずつでも改善していくことを願っています。

[Pew Research Center,Government Executive ]

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