ミシュランガイドで1つ星をとり、田園風景の中で、究極にこだわった大和伝統野菜がいただける、奈良のレストラン「清澄の里 粟」。県外からも多くの人が訪れるという、人気の理由を探ってきました。

五感で感じる世界観

完全予約制で、紅葉の時季は予約が困難というこのお店には、ただおいしいだけではなく、敷地内に足を入れた時から五感で感じることのできる世界観がありました。

151130nara_awa_01.jpg

「こんな田園地帯の真ん中に、ミシュラン店が?」と驚きながら、駐車場から山道を昇っていくと、「メエエエエ」とかわいい声が。顔を見上げると、木造の田舎家のバルコニーから、子ヤギたちが顔をのぞかせて歓迎してくれ、ほのぼのとした気分になります。

同店の料理に使われている大和伝統野菜は、奈良に戦前から受け継がれてきた野菜なのだそう。地元の農家で自給作物として受け継がれてきたお野菜は、ブランド化された京野菜とはまた一味違った素朴な風合いがあります。

151130nara_awa_02.jpgこちらの敷地で栽培されている100種以上の大和野菜の中から旬のものが出されるため、お料理が出されるまえに、一品ずつ、オーナーの三浦雅之さんがレクチャーしてくれます。

151130nara_awa_04.jpg個性豊かな、初めて見る野菜の数々に、食べる前から期待感が高まり、わくわくしてきます。土の香りや、甘み、歯ごたえをしっかり感じ野菜の風味を、薄味の上品なだしが引き立てます。

賢いヤギに癒される、のんびり時間

そうしているうちに、テラスの窓の外から、ツノの生えた大きなヤギが窓ガラスに頭を押し付けてきました。「ヤギのペーター君です。13時を過ぎたら、みなさんにご挨拶に来るんですよ。とっても優しくていい子ですから、ご迷惑じゃなければ、挨拶させてあげてもいいですか?」と三浦さん。もちろん!と、笑顔でうなづくと、ペーター君は自分で窓を開けて、一歩だけ中へ入ってきました。

人が大好きというペーター君の、微笑んだ目と、とてもうれしそうな様子に癒されます。三浦さんがOKを出さなければそれ以上入ってこない、賢さに驚きました。

151130awa_nara_03.jpg料理が全部出たあとは、「時間を気にせず寛いで欲しい」という三浦さんの心配りで、こちらから声をかけると、食後の飲み物とスイーツが出てきます。

テラスで子ヤギたちと遊んだり、眼下に広がる景色を眺めたりと、思い思いに過ごしながら、時間がゆったりと流れていきます。「スローフード」「スローライフ」という言葉の意味を心から実感できる、体感型レストランです。

[清澄の里 粟]

Ranking

RELATED ARTICLES