「もう、時間がないんだから早く食べて!」

あわただしい朝、小さなお子さんを持つ働くママなら、誰しも一度はこんなセリフを口にしたことがあるはず。ところが、こんなセリフとは無縁のママたちがドイツにはたくさいるんです。というのも近年、ドイツでは多くのKita(保育園、幼稚園など託児施設の総称)で朝食が提供されるようになってきており、朝ごはん=Kitaで食べるもの、という習慣が根付きつつあるからです。子どもたちは登園後、みんなでテーブルを囲み、ゆったりした雰囲気の中で朝食をとります。

ビタミン、ミネラル、食物繊維たっぷりの朝ごはん

Kitaでの食事は、テーブル中央に置かれた料理を自分で取って食べるビュッフェスタイルが一般的。これは自分が食べられる量を考えて取ることを子どもに学ばせるためでもあるそうです。さて、気になるメニューですが、ある幼稚園を例に見てみましょう。

主食……全粒粉のライ麦パン、板状シリアル、トウモロコシのクラッカー
主食のおとも……ダークチェリーのジャムとハーブ入りクリームチーズ
タンパク源……スライスチーズ、グルテンフリーのターキーハム
ビタミン類……スティック状に切られたパプリカときゅうり、ぶどう

いかがですか? 今朝の自分の朝食と比べてハッとした方も多いのではないでしょうか。彩りもよく、子どもが食べやすいようよく考えられた食事だと思います。こういった食事内容については、政府レベルでの指導も行われていて、例えば政府の運営する健康的な食事と運動に関するアクションプラン「IN FORM」では「FIT KID – Die Gesund-Essen-Aktion für Kitas(Kitaのための健康な食事アクション)」というプロジェクトを推進し、その中で具体的なメニュー例などを提示しています。

もちろん理想は、家族全員がそろってとる朝食。けれど、家族形態や働き方が多様化したいま、多くの家庭でそれが難しくなってきていることも事実です。大切な一日のはじまり、孤食や急き立てられての朝食になってしまうぐらいなら、いっそのことKitaで楽しく朝食を!という考え方。これは親と子、両方にとってストレスフリーな朝をもたらしてくれる、優しいアイディアなのかもしれません。

[IN FORM, Die Gesund-Essen-Aktion für Kitas]

kids photo via shutterstock

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